umikaze.blog

日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺からくり人富嶽百景殺し旅 11話「甲州三坂の水面」

脚本:保利吉紀 監督:石原興 ゲスト:高杉早苗 山本清 深江章喜

甲州にある閑村にやってきたからくり人たち。水面に映った富士の頂上だけが赤く染まっていた。真相を探るため、村を探るからくり人たち。
やがて「富士に登る」と呼ばれる村のしきたりがあることを知る。調べてみると、過酷な年貢を払うことが出来ず、生活が苦しい村人のために、村に住むの老人を水面に浮かぶ富士の頂上に連れて行き、石を抱かせて自ら命を絶たせる口減らしのことだったのだ。悲しいことだが、村のしきたりは誰かの恨みや悪事ではない。頭を悩ませるからくり人たち。
だが調べにより、村の庄屋が代官、闇の米商人が結託して年貢の石高を改ざんし、差額を闇に流して金儲けをしていたという卑劣な悪事が発覚する。そして、村のしきたりである「富士に登る」も、過酷な年貢を取り立てることに対する正当性を持たせるため庄屋によって作り出された嘘であることがわかる。
そしてまた、一人の老婆が「富士に登った」。「殺してやる……」からくり人の怒りが爆発する。

必殺からくり人 富嶽百景殺し旅 VOL.4 [DVD]

必殺からくり人 富嶽百景殺し旅 VOL.4 [DVD]

悲しい村のしきたりが、実は悪事を隠蔽するためのものであるという何ともやるせない気持ちにさせる作品。その気持ちは、庄屋を始末した後のお艶の表情にも表れている。庄屋たちの秘密を知ってしまった村人が目の前で斬り殺されているにも係わらず、平気な顔で新米を食らう米商人たちの神経には恐怖すら感じる。

久しぶりに一同全員が怒りを露にする今回の仕事は、「目には目を」の原則で庄屋を湖に連れ出し、今まで入水自殺した被害者と同じように湖に落とし始末するもの。確かに、今回の悪人はただ殺すだけでは生ぬるい。

甲州三坂の水面」

http://www.geocities.jp/zdh/fuji36.htm ← 「42.甲州三坂水面」

湖に映る逆さ富士が見事な作品だが、この逆さ富士の頂上こそ、口減らしのために農民の家族が入水自殺をはかる場所である。