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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺仕事人V激闘編 第3話「大難関!大奥女ボス殺し」

脚本:石川孝人 監督:工藤栄一 ゲスト:弓恵子

闇の会に仕事が入る。相手は大奥の権力者・阿茶の局(弓恵子)だ。加代(鮎川いずみ)は高額の仕事料から引き受けたのだが、大奥に陣取る相手を仕置きする方法を全く考えてはおらず、誰からも相手にはされず、仕事料を持ち逃げすることさえも考えるのだが、その時助っ人仕事人・弐(梅沢富美男)が現れ、高額の分け前を条件に手を貸してくれることを約束してくれた。
相手が強大であることに加え、立ち入ることが難しい大奥の仕事に難色を示していた主水(藤田まこと)を動かすため、加代はスリを雇い主水の財布を掏らせ、強引に仕事に加えいれることに成功する。
主水が参加したことにより、竜(京本政樹)と政(村上弘明)も仕事に参加。ところが、まだ経験の浅い竜と政は、初の大仕事を前に夢でうなされるほど緊張をしていたのだった。
大奥で年に一度の畳の張替えが行われることを知った主水は、畳職人になって大奥にもぐり込むことを決めた。弐は役者に化け阿茶の局へと近づく。加代と弐の手引きにより、大奥での大仕事が始まろうとしていた。

激闘編工藤監督三部作最後の作品。石川孝人のよく練られた脚本に、工藤栄一のメリハリの利いた演出があいまって、激闘編の中でも傑作の部類に仕上がっている(私は工藤三部作の中で、この作品が一番好きだ)。過去の作品では、大奥への潜入を簡単にやってのけ、あっさりと権力者を仕置きしていた話が多かったのだが、今作品では大奥に潜入することがいかに困難であり、また絶大な権力者を仕留めることの難しさを事細かに描いた作品だと言える。

まだ経験の浅い竜と政に、大奥で自分が返り討ちにあって殺される、という夢を見させてうなされるシーンを挿入しているのも、仕事人は何でも出来る超人ではなく、仕事人もやはり人の子である、ということを視聴者に見せ付ける効果があって、より一層の緊張感を持たせることに成功している。また、仕事人Vでは完成された殺し屋として登場した2人を、経験不足の若手仕事人として表現したことも、視聴者へのアピールに繋がっている。

梅沢富美男扮する弐の魅力も存分に発揮されている。加代に多額の助っ人料を集ったり、大奥女中をたらしこんで情報収集をしたり、役者に化けて阿茶の局に踊りを見せつつ主水をサポートし、最後は人の往来が行き交う白昼堂々の殺し……など、大変見せ場が多い。

この作品については、全く文句の付け所がない。このレベルの作品をもっと量産できていれば、激闘編は更に高い評価を受けていたであろうことが悔やまれる。