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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

青木悠三健在?


磯光雄氏という、2ちゃんでも度々話題に上がる、天才アニメーターがいる。
アニメに造詣の深い人ならご存知だろうし、業界人で知らない人は居ないハズだ。
この人は 自分の納得がいくまで突き詰めて仕事をするいわゆる職人タイプ。
氏が某テレビシリーズ参加当時(今から7〜8年前程)氏の宅を拝見する機会があった。
ポケ戦*1で業界に衝撃を与え、ポポロクロイス(ゲーム)で天才的な仕事をしていた、
あの磯光雄が、フロ無しの小さなアパートに住んでいたんだ!
俺より腕も格もキャリアも上の人間が、倹しい生活をしていたんだ!
能力のある人間がそんな環境で生活しているのを見て、すごくショックを受けた。
その時、この業界が抱える矛盾に改めて考えさせられた。
並々ならぬ努力をして、ようやく人並みの収入だなんて、
30代はまだいい、40代や50代になってからどうなるんだろう?
感性が古くなった人間、体力的に衰えた人間は、否が応にも第一線からは外れていく。


ごく最近、青木悠三氏の話を聞く機会に恵まれた。
青木さんの残してきた数々の素晴らしい仕事に感服していた俺は、
色々と武勇伝が聞けるのではないかと楽しみにしていた。
しかし、本人の口から出てきた言葉はおおよそ期待を裏切るものだった。
実に有意義な時間ではあったが、
「この業界にはね、もう未来が無い。夢も希望もないよ。30年前は良い時代だった」
ポーズもあったとは思うが、これは本音だったと思う。
前に行く大先輩にこうのたまわれたのでは後を行く者の立つ瀬がない。
正直、ヘコんでしまった。
後輩に尊敬される仕事を残し、轍を刻んだ先達が最後に残した言葉は
「結局使われるほうはね、搾取されて終わるの。この業界の仕組みが変わらない限り永遠に続くね」

元は2ちゃんねるの「アニメーターの経済状況を訴えるスレッド」というタイトルのスレッドに書き込まれたものらしいのですが、その一部を抜粋してあったものを、更に抜粋してみました。

どうやら現役アニメーターさんが書き込んだレスのようですね。書き込みがあったのが去年の9月辺り。この時期に青木悠三の話が聞けた……というのは『ポポロクロイス』に参加している誰かかな?全くの推測だけど。

青木悠三は、30年以上前から一部のファンの間では「神」として崇められてきたアニメーターの一人です。同業者からも技術に対しての信頼は厚く、一部のアニメーターからは「天才」とまで言われました。『ルパン三世シリーズ』があまりにも有名で、一緒に参加したこだま兼嗣も多大な影響を受けていますが、その他にも『まんが世界昔ばなし』の「不思議の国のアリス」や、『太陽の勇者 鉄人28号』などで大活躍をされていました。『ルパン三世バビロンの黄金伝説』も、話の中身は別として、青木悠三の感性が全面に押し出された傑作の一つです。

その青木悠三も、しばらくアニメに顔を出さなくなりました。病気療養だったのでしょうか?それとも、「結局使われるほうはね、搾取されて終わるの。この業界の仕組みが変わらない限り永遠に続くね」というアニメーターの待遇を巡る今の状況に嫌気が挿して、しばらく参加を拒んでいたのか……本当の事情は分かりません。

今現在参加している『ポポロクロイス』においても、青木悠三参加回は、正直今のファンにとってはあまり評判の良いものではないときがあります。青木悠三が叩かれていたりもします。しかし、30年前の青木悠三は確かに神でした。当時類を見ないような大胆な構図、トーンの使い方、キャラの動きなど、常に時代の最先端を見据えての演出が多かったことも間違いはないです。
新ルパン三世』のオープニング(不二子が口紅を撃つバージョン)や、『ルパン三世PartIII』の前期オープニングを見るとよく分かると思います。

しかし、そんな脂が乗って活躍をしていた30年前と今ではアニメ業界も大きく変わっています。良い環境で自分の感性を自由に表現できるアニメーターなんて、本当に限られていますし、そうした名アニメーターも、描けば描くほど自分の技術を吸い上げられ、利益には還元されずに貧しい生活を送っているわけです。こういった暗い世界になってしまったことに対して、「この業界にはね、もう未来が無い。夢も希望もないよ。30年前は良い時代だった」と言ったのでしょうか?

このレスを読んでいたら、青木悠三の詳しい話が聞きたくなってきました。WEBアニメスタイルhttp://www.ntv.co.jp/ghibli/web-as/)辺りで青木悠三特集してくれないかなあ。