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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺仕事人V激闘編 第11話「加代、何でも屋婆さんに驚く」

脚本:篠崎好 監督:工藤栄一 ゲスト:初井言榮

加代と同じ長屋に住む おぎん婆さん(初井言榮) は67歳ながら夜鷹で生計を立てている凄い女性。バイタリティでは誰にも負けない加代であったが、おぎん が夜鷹をしていると聞いて空いた口が塞がらない。後日、闇の会が開かれ出席した加代は、頼み人として現れた おぎん にまた驚く。仕置の相手は北町同心の中村左門。加代は一旦引き受けたものの、同心の命を狙うのに頼み料がたったの2両ではリスクが高すぎると主水と竜に断られる。しかも、主水によればこの中村左門、南北両奉行所の同心の中でも一、二を争う剣の使い手で、主水ですら「只者じゃねえ」と警戒するほどだ。しかしながら、同じ女性として おぎん を助けたい加代は、金を餌にして政に協力を仰ぎ おぎん に頼みの「スジ」を聞き出す。 おぎん は過去にある大店の番頭と所帯を持っていたが、店の金を横領した疑いを掛けられ、取調べ中に抵抗した咎により切り捨てられたのだ。そして、切り捨てた同心が中村左門だった。その恨みを晴らすため、 おぎん は10年以上も夜鷹をしながら金を稼いでいたのだ。

おぎん の恨みの重さと加代の必死さが主水たちを動かした上に、壱までが協力してくれるという。左門の取り巻き2人は政と竜で始末したが、左門が難関。政が殺しに失敗し、壱も大苦戦。主水も刀を抜いて不意打ちを行うけれども見抜かれてしまい正面を向かい合いながらの決闘。それでも形勢不利なのか、壱が反物を左門の足に巻きつかせて主水が止め……。最後、 おぎん は屋台で蕎麦を食べながら「男なんてみんなくたばっちまえば良いんだ……」と愚痴をこぼす。

主水一家のコントが何か無理やりな感じがして、ちょっと台無しな気がしました。 おぎん と せん の比較みたいなコントで終わらせてくれれば、まだ余韻が残ったものですが……。勿体無い。

ハード路線として最高の出だしを切った激闘編だったけれど、当時の視聴者に受け入れられなかったせいかじょじょに従来のソフト路線へと立ち戻ろうとしている矢先に工藤栄一が監督を手がけた作品……なんだけれど、終わってみれば普通の作品。本当、盛り上がることもなく、萎えることもなく、超安全に見ていられる回。唯一盛り上がるのは、中村主水×中村左門のところだろうか。個人的には、主水が左門をバッサリ切り捨てて欲しかったです。仕置人で村井国夫を切り捨てたようにね。でも、主水と壱の連携というのも「チームワークで強敵を倒す」という意図があってなかなか面白いですが。

初井言榮については、『天空の城ラピュタ』のドーラの声で有名だったりします。他には『サンキュー先生(西田敏行主演)』とか、『名古屋嫁入り物語』とか。でも、あまり見たこと無い人なんで、詳しくは語れませんけれど……(;´Д`)

結局、この作品を最後に工藤栄一は激闘編から手を引いてしまいます。『裏か表か』の撮影が本格的になったからかな?それでも、テレビシリーズに残ったスタッフは激闘編の意図を何とか汲み取ろうとして、ソフト路線に転換しながらも理想へ近づけていけるような作品を目指して行くのです。

余談だけれど、激闘編をきっかけに政を演じる村上弘明の露出が目立ってきますね。工藤監督に気に入られていたのでしょうか。松竹側としても、自社時代劇を牽引してもらう新たな若手として期待していたのでしょうね。現に、必殺が一旦終了した後すぐに『月影兵庫あばれ旅』などの連続時代劇で主役を射止めたり、その他の松竹京都映画製作の時代劇で重要な位置でキャスティングされましたからねえ……。