脚本：石森史郎 監督：井上梅次 ゲスト：片岡秀太郎 浜田晃 竹井みどり
紀伊へ到着の京山一座。しかし上方で絶大な人気を誇る尾上鶴之丞一座の張り紙を発見。京山（京マチ子）は強力なライバル相手では勝ち目が無いと串本へ。尾上鶴之丞一座の看板役者・尾上鶴之丞（片岡秀太郎）は講演先の大店の女をたぶらかし不義密通の強請りを繰り返す。紀伊では山城屋のお内儀を強請り自殺に追い込み、女中が尼寺へ駆け込み鶴之丞殺しを依頼して自殺。その一部始終に係わったのが、別行動の晋松（高橋悦史）。晋松は、女中に暴行を働いた尾上鶴之丞一座の座長・尾上喜寿郎（浜田晃）に目を付ける。
串本で直次郎が一目惚れしたのが、網元・岬屋磯吉（加賀邦男）の娘・おみつ（竹井みどり）。直次郎はデレデレするが、おみつ には利助（水上保広）という親公認のフィアンセが。おはな（西崎みどり）と直次郎がビラ配りをする最中、遂に現れた尾上鶴之丞一座。串本で競合し鶴之丞一座は大入。京山一座は爺婆だらけ。お色気で勝負するも完敗。
喜寿郎は景気の良い岬屋に目を付け鶴之丞に おみつ を虜にするように指示。おみつ を呼び出し誘惑するが別れ際 おみつ に警告。鶴之丞の強請りは本心からではないのだ。本来「鶴之丞」の名を継ぐはずだった喜寿郎は鶴之丞の不注意で顔面大火傷。役者を続けられない顔になってしまった。そのため、自責の念に駆られる鶴之丞に強請りを強要していたのだが、良心と板ばさみだった鶴之丞は遂に反発。しかし、反発したことが原因で おみつ が喜寿郎に辱められて入水自殺。鶴之丞は我慢の限界を通り越し役人に訴えると騒いで喜寿郎に殺される。
物的証拠から犯人が喜寿郎であると知った おみつ のフィアンセ利助は匕首を持って喜寿郎のところに乗り込もうとしたが直次郎によって阻まれ無事に済む。
喜寿郎一味を仕置する京山たち。
時代劇王道、外道役者の女強請り話。必殺常連俳優・片岡孝夫（現・十五代片岡仁左衛門）の兄、片岡秀太郎が細いながらもしっかりとした演技を見せる。そして、必殺被害者女優としての常連、竹井みどりにも着目。細かいところでは直次郎の裸。ちょっと露出狂が入っているみたい。
竹井みどりが辱められて入水。一番オーソドックスな悲惨さか。これが、辱められて放心→フィアンセが喜寿郎一味に乗り込んで返り討ち→竹井みどり後追い自殺、だったら、更に悲惨さが増しただろうなあ。前期の作風ならこういう組み立てだったかも。
殺しのシーンは怪談風。必殺お得意のパターンか。京山の殺しがすごい。浜田晃に当身を喰らわせ合気道で投げ飛ばすのだが、最後に簪を差し込むまでの編集が凄い。この一連、思わず笑ってしまった。浜田晃、勢い良く投げ飛ばされすぎ。合気道ってあんなに遠くまで投げ飛ばせるものなのか。あれじゃストIIのリュウの背負い投げだよ。（第1話で戸浦六宏を投げ伏せたときとはエライ違い）
来週は最終回、江戸へ帰る京山一座。
