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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺仕置屋稼業 第9話「一筆啓上偽善が見えた」

脚本:保利吉紀 監督:松野宏軌 ゲスト:長谷川明男 寺田農 津田京子

貸本屋・孫兵衛(長谷川明男)が扱う絵草紙が大奥を揶揄したとして、作者・蛙亭文蝶(寺田農)は30日間の手鎖の刑を受ける。主水(藤田まこと)が5日に一度の手鎖の確認と絵草紙の処分を命じられたのだが、不運というか何者かの罠というか、絵草紙を焼いていた現場から不審火が出て、火の不始末を咎められ始末書を書くはめに。始末書3枚で進退伺いを出さねばならないと知り せん(菅井きん)とりつ(白木万理)は怒り心頭。

一方手鎖の文蝶は妻・おきく(津田京子)に食べさせてもらってはいたが、ある日ならず者の清太(野口貴史)と三次(須賀良)が文蝶宅に押し込み、おきく を犯し逃走。この二人を影で操っていたのは孫兵衛なのだが、文蝶は市松(沖雅也)からの助言もあり、おこう(中村玉緒)に おきく の恨みを晴らして欲しいと依頼する。

捨三(渡辺篤史)の追跡も空しく、おきく は清太に殺された。孫兵衛は清太と三次を匿うのだが、その一方で文蝶をそそのかし、またもや大奥を題材にした絵草紙を作らないかと持ちかける。清太と三次の悪事の裏は取れた。しかし、孫兵衛の正体だけはどうも掴めない。奉行所の幹部役人とも顔を通じ、身のこなし、立ち居振る舞いに関しても只者ではないと踏む主水は警戒を強める。

清太と三次は印玄(新克利)と市松が仕置。孫兵衛は主水が接近。「お前は意地の悪い隠密廻りだ。やり過ぎ。やり過ぎなんだよ」一瞬の隙を突いて主水の刀を奪い襲い掛かる孫兵衛であったが、脇差を抜いて孫兵衛の腹を刺す主水。仕置完了。

与力・村野(宗方勝巳)から「文蝶が筆を折れば、始末書の件は無かったことにする」と言われ、文蝶を説得する主水。しかし断られ、思わず絶叫するのだった。

長谷川明男、寺田農、番組が始まって30分経たないと悪人役か善人役か分からない役柄が多い二人だが、今回は役割がはっきりしている。寺田農の飄々とした作家が面白い。東京人の寺田農だが、意外と関西弁が上手くて驚き。

今回は孫兵衛の目的をいまいち掴めなかった視聴者が多かったのではないだろうか。結局彼は何をしたかったのか。大奥からの依頼なのかどうかは分からないが、文蝶の筆を折ることが任務だったのだと思う。そのため、遊び人、ならず者を使って文蝶の妻を強姦させ精神的苦痛を味わわせ、更には奉行所も巻き込んで(村野との密談)筆を折らせようと企んでいたのだろうが、文蝶が思いのほか頑固だったため、最後の手段でそそのかし、大奥を揶揄した物語が完成したところで主水に仕置される……といったのが一連の流れか?多分、あの絵草紙完成で文蝶に引導を渡すつもりだったのだろうが、隠密廻りの仕事としては少々小物過ぎるような気が。仕事屋稼業の浜畑賢吉の隠密廻りのほうが迫力あったなあ。

「それじゃ文蝶、お前筆を折ってくれるんだな?」「いいえ、折りまへん」「えー!」絶叫と半泣きの顔でクローズ。爆笑。