脚本:吉田剛 監督:松野宏軌 ゲスト:森次晃嗣 高瀬春奈
伊達一門である伊達安房(大下哲矢)が治める亘理領へ向かう京山(京マチ子)一行。関所の審査が思いのほか厳しく、また亘理からの出女には更に厳しい様子に晋松(高橋悦史)もいささか疑問。亘理へ入ると、すぐに男が「殿様じゃ!女を隠せ!」と叫びながら走ってくる。この男は伊達安房により女房をおもちゃにされた男だが、無礼討ちにより一太刀。
目指す尼寺へ到着した京山一行。しかし尼寺の住職……つまりは殺しの依頼人は既に死亡。そして、そこには三浦(森次晃嗣)と名乗る侍が警備として常駐しており一座を追い払わんとするが、妻の志乃(高瀬春奈)の計らいにより雨露を凌ぐことが出来るように。
伊達安房は二万三千石の大名にも係わらず無類の女好きで、良い女がいたら手当たり次第手を付ける曲者。奥方もあきれ果ててはいるが、家老・奥山久太夫(玉生司郎)、石母田隼人(出水憲司)の入れ知恵により、手を付けた女は尼にして尼寺へと押し込め、その中で子種を身篭った女は堕胎させるか息の根を止めることで難を逃れるように取り計らう極悪人。
京山一行の手踊りを観覧した安房だが、京山一行にも目を付け早速弄ぼうと画策。一方、京山たちも安房の企みに気付き、また亡き住職の手紙を読み悪事の確証を得た上で、一座の娘たちを逃がすことに。そして、尼寺に捕らえられていた女たちと志乃をも助けようとするが、三浦に見つかってしまう。三浦は自らの口から自分が犯した悪事を述べたことにより、一部始終を志乃に聞かれてしまう。自責の念に駆られていた三浦は、そのまま志乃と京山を逃がすため、奥山、石母田が引き連れた侍たちを切り伏せながら逃れようとするも、尽力虚しく夫婦揃って斬殺される。
一座を離れ別行動。色町にて潜伏の京山、晋松、直次郎(本田博太郎)の3人は、お忍びでやってきた安房一派を始末。仙台を後にする。
舞台は仙台。本家伊達家の分家が治める領地とは言え、殺す相手がまさかその地の大名だったとは。第2話にしていきなり大名殺しの大仕事に臨む京山一行。
しかし、今回の黒幕である伊達安房は凄い。何が凄いか。その性欲である。最早女であれば何でも良いような感じ。夜毎お忍びで女を漁る変態ぶりを見せる。まあ、奥方は本家伊達家から嫁いで来ており夫として頭が上がらないわけだから、そのストレスの捌け口という考え方もあるのだろうけど……これはやり過ぎ。
ゲストの森次晃嗣も、自分がやっていることは悪いことなんだ、という自覚があるにせよ、役目としてやむを得ず悪事に加担する苦悩な役柄を熱演。最後は家老一派の侍を斬りまくりの大活躍。三浦夫婦を(或いは志乃のみでも)、助けようと思えば助けることも出来ただろうが、あえて殺したあたりが後期必殺の予定調和的な部分に感じ個人的には少々不満。
殺しのシーンはオーソドックス。これといって特徴は無いものと思われる。ただ、全体を通して手堅く作られており、吉田剛脚本にも係わらず登場人物のセリフにもふざけた言い回しは無く、またカメラアングルなども古き良き時代劇といった感じが見てとれた。石母田が消えたろうそくに触り、残る熱を頼りに探索を命じるなど細かい演出。個人的には、仙台を後にする京山一座が山の中を歩いていくラストなんかが良かったかな。ベテランの松野監督らしい仕事が随所に光る。