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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺まっしぐら! 第9話「相手は名古屋の暗殺剣」

脚本:石川孝人 監督:松野宏軌 ゲスト:うえだ峻 亀石征一郎 北村英三

江戸で老中が暗殺され、巷の町民も斬殺された。斬り口からして下手人は只者ではない。この事は将軍の耳にも入り、「尾張家に不穏な動き有り。尾張柳生に謀反の動き有り」と判断。将軍家剣術指南役・柳生但馬守うえだ峻)に直々に調査を命じる。本家柳生は御留流であり他流派との試合は禁止されていたため、剣術の型だけを真似るのみに留まる練習しかしておらず中身は腐敗しきっていた。この調子では尾張柳生には勝てない。そこで但馬守はある秘策を講じる。

秀(三田村邦彦)は宗右衛門(睦五郎)から今回の相手、尾張柳生のトップである柳生連舟(亀石征一郎)の名を聞いて驚愕。「怖気づいたのか?」の言葉に「金さえ貰えりゃどんな相手だって」。旅支度をするお銀(秋野暢子)のところへやってきた綾麻呂(笑福亭鶴瓶)は相手が尾張柳生と知り、仕事料を持ち逃げして一緒に暮らそうと提案するも一蹴される。尾張へ向かう途中、またもや刺客に襲われる秀。難なく撃退するも、その様子を見ていた但馬守は「わしにもあんな部下がおれば」。

天保4年10月10日。滝沢馬琴の日記によれば江戸は曇り。しかし尾張では爽やかな秋風が吹いていた。早速尾張柳生の身辺を調査する綾麻呂は、道場で行われる実戦を想定した激烈な訓練にビビり、挙句尾張柳生四天王の一人・秋月源之介(五味龍太郎)に目を付けられてしまう。連舟は江戸での老中暗殺成功に気を良くするも、義理の弟である菊間十次郎(重田尚彦)に諌められてしまう。なおも張り込みを続ける綾麻呂は、中村遊郭での連舟、尾張家家老・山口勘兵ヱ(山口幸生)、遊郭総元締・四海屋徳兵ヱ(北村英三)の三者密談を盗み聞き。お銀は遊女として四海屋へ潜り込むが綾麻呂は不安で仕方がない。

十次郎は命を賭して連舟に挑むが、夜道秋月たちに襲われ殺害される。連舟によって濡れ衣を着せられる形になるが、妻で連舟の妹である志津(鈴川法子)は但馬守に遺書を残し後追い自殺。菊間夫婦の人柄を知る秀は怒りの頂点に。そこへ東吉(西郷輝彦)がようやく尾張へ到着。連舟が中村遊郭へ出かけたことを機会に、尾張一派を始末するために動く。

仕事は無事完了。しかし仕事を見届けていた但馬守に対し、秀は痛烈な言葉を浴びせるのだった。

今度の仕事は尾張名古屋。相手は尾張柳生だが、イマイチ強さを感じられなかったのが残念。しかし、東吉と秋月の正面きっての対決や、秀が連舟の刀が抜けないように細工をし、その一瞬の隙を突いての殺しなど、僅かな工夫の後は見られる。志津が後追い自殺をして十次郎の遺体に寄り添う姿を、カメラが上から引いていく演出が美しく悲しさを引き立てる。

さてこのお話、途中のナレーションである「爽やかな秋風が吹いていました」のとおり『必殺仕掛人』「秋風二人旅」のリメイク作で、権力者が敵わぬ相手を仕留めるために仕事人を利用する、という筋書き。最後に秀が但馬守に向かって言い放つ「金で他人に仕事をやらせて、自分は手を汚さない。汚ねえと思わないのか」は梅安が天知茂に言い放った言葉よりストレートで手厳しい。明らかに「晴らせぬ恨み」ではないわけなのだから。まあ、こんな仕事を引き受けてしまう元締にも問題有りだけど。

西郷輝彦、今回も冒頭と殺しの直前だけしか出番無し。しかし髭を生やし始めている。

史実人物

秀が名古屋へ向かう途中、犬を連れた少年に出会う。この少年こそ、後に「維新の三傑」と呼ばれた西郷隆盛の6歳の頃であった。当時木曽川工事に多くの薩摩藩士が来ていたそうです。