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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺仕事人V旋風編 第6話「主水バースになる」

脚本:保利吉紀 監督:田中徳三 ゲスト:草川祐馬 中山昭二 遠藤征慈

百軒長屋で留吉(草川祐馬)と おみね(斉藤林子)が祝言を挙げた。主水(藤田まこと)も駆けつけるが、風邪気味なので早々に退散。その帰り道、手練れの忍者数人に襲われる主水。必死に応戦するが、遂に捕らえられてしまう。銀平(出門英)が鶴を飛ばすも通用せず。一夜明けても帰って来ない主水に、せん(菅井きん)と りつ(白木万理)は大慌て。百軒長屋、奉行所などを捜し歩くも見つからず途方に暮れる。

銀平は お玉(かとうかずこ)、政(村上弘明)、順之助(ひかる一平)を呼び出し緊急会議。主水を信じて普段どおりに生活するという政の意見に対し、主水を探そうという順之助、「八丁堀も人間だからな」と自分たちの身に危機が及ぶのを懸念する お玉と銀平。信頼感の無い2人に言葉を荒くするが、お玉は「私は元締の娘だからね。忍の連中の拷問の恐さはよく知っている」と神妙な面持ち。

さて、その主水を誘拐したのは、公儀御庭番頭・倉持典膳(遠藤征慈)。裏では盗賊一味とグルになり、商家を持たせて私服を肥やそうと画策する。昔、盗賊一味が増田屋へ押し入った際に奪い取った金は埋立地に埋めたのだが、そこが今では何と百軒長屋。更に、偶然再会した おみね は、増田屋の一人娘だったのだ。始末を計画する盗賊たち。

さて、主水を探すのに必死の仲間だが、主水は倉持に連れられある屋敷へ。現れたのは何と将軍(新城邦彦)!側用人の屋敷宗久(中山昭二)と行動を共にし、ある任務に当たると言うのだ。船に揺られてはるばる遠く、船倉で屋敷に「どこへ向かうのか」と尋ねる主水に、屋敷は「薩摩」と答える。そして、主水の剣の腕、叩けば埃が出る身分であることも、既に調査済みであった。薩摩へ着いた主水。鶴丸城に将軍家の印籠を埋める任務。印籠を埋めた後、将軍が薩摩へ使者を送り、すぐに印籠を掘り当て将軍家の目は日本隅々にまで轟いているとの威厳を示すのが今回の目的だそうで、成功すれば南町奉行所の与力職のポストが約束されている。主水は早速鶴丸城へ潜入するが、薩摩藩士に見つかり捕らえられてしまう。

江戸に帰らない主水。百軒長屋の番所は盗賊たちに荒らされ、金を持ち逃げされてしまった後。無断欠勤10日で何らかの沙汰があると睨む鬼塚(西田健)と田中様(山内としお)だが、遂に甲府金番への左遷が決定。その数日後には閉門蟄居の沙汰があり、せんりつはガックリ。一方、おみね が遂に盗賊に殺され、留吉から恨み晴らしの依頼が。「八丁堀抜きでやるのか」と不安になるメンバーだが、仕置を決行。

手下を始末した政たち。主水もちょうど江戸へ帰ってきた。倉持の屋敷にいる主水。そこへ政が登場。対峙する二人だが、迷わず倉持を刺し殺す主水。仕事料を渡す政は髭もじゃの主水に「いい顔してるぜ」と静かに笑う。

遂に主水が本編に全く関係の無い場面のみに登場するようになってしまった。留吉の恨み晴らしと、主水の潜入話が並行して展開するため、ちょっと分かりづらい内容になっている。それでも、きちんとした作品に仕上がっていることを鑑みると、スケジュールのばらつきから生じる製作の難しさを上手く処理した田中徳三他スタッフの苦労が窺える。

登場するごとに主水の髭が濃くなっていくのが面白い。最終的には、本当にランディ・バースになっていた。『その男・ゾルバ』で忙しかったんだろうな、きっと。主水失踪の中、特にせんりつコンビが意欲的に走り回りテンション低下をカバーしていたように思う。せん と田中様、鬼塚との絡みも新鮮。占い師に助けを求めるのはスペシャル『恐怖の大仕事』で安雲斎(横山やすし)にすがる件と酷似。しかしこの占い師は安雲斎のようにいい加減ではなく、「婿イビリも大概になさいませ!」と せんりつ に一喝。

冒頭の主水の殺陣に昔ほどメリハリは無くなってはいるが、久しぶりに激闘する主水の姿を見れたのは新鮮。絶対的な力を前に無理矢理仕事を受けさせられる、というのは、前述の『恐怖の大仕事』に酷似している展開とも見て取れるが、同行者の屋敷さんが良い人だったのが救いか。南町奉行所同心への復帰も、きっと彼が働きかけてくれたのだろう。

仕置のシーン。飛び道具の2人(順之助、銀平)が見事なコンビネーション。お玉さんも相変わらず大ジャンプ一回転。倉持を仕掛ける前に口上を述べる政も珍しい。対峙する主水と政だが、迷わず倉持を刺し殺す主水に驚き。裏稼業を優先させた主水の行動に、本当の「仕事人」としての姿を見ることが出来たような気がする。

さて、ここで一つ変化。順之助、おりん、千代松の3人が織りなすちょっと寒いコメディパートが、今回から仕置屋稼業の日常の曲に変更となりました。気のせいかな、必殺仕事人と仕置屋稼業の曲を中心とした流用が多いように思います。