脚本:篠崎好 監督:田中徳三 ゲスト:小林芳宏 原口剛 里見和香
牢内に受刑者が一人入牢。強欲なため抜け荷買いを行い罪となったが、牢名主・矢源太(阿波地大輔)は脱獄の誘惑を持ちかける。一方、百軒長屋では家賃滞納者が問題視されており、百軒長屋担当職員である主水(藤田まこと)は田中様(山内としお)と鬼塚(西田健)に取り立てを迫られる。島田誠之助(小林芳宏)、おしの(里見和香)の夫婦も家賃を滞納しているのだが、誠之助が重い病のために働くことが出来ず、おしの の僅かな稼ぎで暮らしをしているので主水もなかなか言い出せない。
さて中村家。福引で当たった出会い茶屋・松風の利用券をどうするかでひと揉め。りつ(白木万理)はもちろん夫である主水と行きたがるのだが、その態度に せん(菅井きん)は少々ご不満気味。早速、勤務中に抜け出して りつ と一緒に松風へ入る主水だが、入り口で おしの を見かけ疑問に。中に入ると、さすがにそこは江戸でも最新のラブホテル。部屋は壁一面天井まで鏡張り、ピンクのベッドがぐるぐる回る仕組みで、りつ も思わず大興奮。呆れる主水。しかし、その裏には牢同心・中井平次郎(原口剛)と松風の主・仙蔵(下元年世)の悪どい罠が。
おしの も松風にいた。遊び人の男をくわえ込んでの売春行為。おしの が誠之助に薬を買えたのは、このいかがわしい副業の収入があったからなのだ。行為が終わってベッドに倒れこむ二人だが、眠り薬が入ったお茶を飲み爆睡。そのまま地下に落とされ二人は殺されてしまう。主水夫婦も、間違って出された眠り薬入りのお茶を飲まされ行為は出来ずに帰宅。勤務時間中にさぼっていたのがばれて田中様から大目玉を喰らうが、お玉(かとうかずこ)から「おしの さんが戻らない」との報告を受ける。松風で何かあったのではないか、とからくりを調べるために お玉は政(村上弘明)と松風へ。二人も眠り薬を飲まされピンチに陥るが、途中で気が付いた政は中井たちの企みを聞く。
中井はその立場を利用して、牢内で金を持っていそうな受牢者に矢源太を通じて脱獄を持ちかける。一方で、仙蔵が経営するラブホテルにやってきた、後ろめたい動機のカップルを窒息死させ、脱獄したい受牢者とこっそり入れ替える。それは女牢でも同じことが行われていて、女牢の牢名主・お米(紅萬子)も一枚噛んでいた。牢内では病で病死と言うことになり、脱獄者は報酬として多額の金を中井たちに納める、という筋書き。仕事料は、誠之助が名刀を売った5両。ラブホテルを舞台に、主水たちの仕掛が始まる。
江戸時代のラブホテルもなかなか過激だったんだなあ、と感心(?)。どうせならお風呂も紹介して欲しかったところ。しかし、必殺世界の江戸時代にはラブホテルもさることながら、照蔵屋(テレクラ)もあるなど、なかなか派手な風俗がまかり通っていたようですな。阿波地大輔の顔が相変わらず恐すぎ。暴れん坊将軍第一シリーズの、め組の一員だった頃が懐かしいが、今回はそんな事も感じさせない牢名主の役柄。原口剛は相変わらずダンディでカッコイイですな。
さて、冒頭の中村家のコント。隣の「清原さん」が大活躍なのはいつものこと。そして今回は、新たなキャラ「向かいの落合さん」が登場。せん曰く、落合さんは昨年に3つの大手柄を立てたらしい。1986年、確かに落合さんは三つの大手柄を立てていますねえ。主水もさすがに「あいつには敵いません。器が違いすぎます」。今は奉行……じゃなく監督になってセ・リーグ独走中。
この話は、百軒長屋が完成して半年が過ぎたあたりが舞台になっている。前話の「コールガール」では、まだ長屋が出来て3ヶ月くらいだったはず(千代松のセリフより)。よって、今回の仕事に至るまで約3ヶ月のブランクがある、と言うことになる。
殺しのシーンでは、ラブホテルを舞台に悪人たちを次々と始末。鏡を使った主水の殺しが面白い。