脚本:吉田剛 監督:原田雄一 ゲスト:有川博 北原義郎 山本陽一
江戸の若者たちの間では、派手なメイクと着物を着て"ホコ天"で遊ぶのが大ブーム。高島藩御金蔵方・藤尾欽兵衛(有川博)の息子、欽太郎(山本陽一)もその一人。友人の今千之丞(江端郁世)と一緒に行う強請り集りお構いなしの悪童ぶりに おりん(桃山みつる)と千代松(遠藤太津朗)も大迷惑を被る始末。
さてその高島藩では、勘定方・宮崎一学(北原義郎)一派が藩金を使い込み五千両を焦げ付かせてしまう。欽兵衛には「藩金増額のための資産運用に失敗した」と嘘の報告をするが、真に受けた欽兵衛は、御金蔵に盗賊が入り込んで盗まれたと一芝居打つ事を提案。火盗改与力・佐藤小十郎(有川正治)の下、計画を進める宮崎たち。盗賊役をどうするかの選定に、ホコ天で能天気に遊ぶ「生きていても仕方がないチンピラ」を使うことに。
チンピラを片っ端から補導する火盗改メ。奉行所も遅れを取るまいと躍起になるがその最中、過去の悪事が祟って補導される欽太郎と千之丞。盗賊役の選定を行っていた宮崎一味の一人は、欽太郎に目を付け悪巧み。政(村上弘明)のところに御金蔵のカギを作るよう依頼し、欽太郎にはその預かり書を渡して釈放。千之丞の「その合鍵があれば(お金を)使い放題だな」との軽い誘惑が後々の悲劇の引き金に。
家へ帰ると欽兵衛が待っていた。自分の悪事を簡単に考える欽太郎に対し、父親の威厳を以ってこっ酷く叱る欽兵衛。「小遣いも無し」と言われ不貞腐れる欽太郎。「子供に恥をかかすんですか!?」と自分勝手な理屈を唱えて暴れまわるが、そこで思い付く合鍵の預かり書。一方、欽兵衛に惚れている お玉(かとうかずこ)は父子家庭の子育ての難しさを理解した上で「親の期待が重過ぎるのが、今回の悪事に至った原因なのでは?」と欽兵衛を諭す。その気持ちに強く打たれた欽兵衛は、お玉に後日お礼がしたいと申し出る。お玉も満更ではないが、欽太郎の様子がおかしいと後を付けると、政から合鍵を受け取り高島藩御金蔵へ忍び込まんと暴走する欽太郎を発見する。本当に御金蔵へ忍び込むとは思わなかった千之丞は逃げ出すが、欽太郎は金を盗んでしまい、待ち構えていた宮崎一味に殺され、父・欽兵衛も口封じのため共謀の罪を着せられ親子揃って殺されてしまう。
宮崎たちを仕置にかける主水たち。しかし警備が厳重だ。知恵を出す主水。「もう一度御金蔵破りがあると吹き込み、一同揃ったところを殺っちまえば良いんだ」。政たち仕事人は盗賊になり蔵へ悪人をおびき寄せ見事仕置を完了させる。
無鉄砲な若者が暴走に走る件、吉田剛が得意とする分野か。しかしこれって竹の子族(?)とかあの辺りのパロディだよね?よく分からんけどさ……。この回でもお玉さんの惚れっぽさが浮き彫りに。今度はナイスミドルですか。年上でも年下でもイケる お玉さん。
主水さん、「頼みの筋は分かった」と言っているけどイマイチ理解し難い。勘定方の悪事は分かる。しかし、盗賊に盗まれたことにしようと言い出したのは欽兵衛本人だし、御金蔵に忍び入ることを決意したのは欽太郎自身が暴走したからであって、それが欽兵衛の恨みに繋がるか、というのは少々疑問。宮崎一派が欽太郎に合鍵の預かり書を渡し、若さゆえの誘惑に対する弱さを突いた、と言えばそれまでだが、最初から被害者ありきで考えられているような流れで、事の起こりと殺されるに至る流れ、そして恨みへの関連付けの弱さが少々気になった。まあ、吉田脚本だしあまり細かく考えないでおこう。久しぶりに裏の仕事にノリノリな主水も頼もしくて良い。吉田ニコルソン。