ルパン三世PARTIII　第７話「死神ガーブと呼ばれた男」

昔、不二子の裏切りが原因で全身に銃弾を浴び、死の渕を彷徨った男・ガーブが、地獄から蘇り殺し屋となって不二子の命を狙う。脳内に残った銃弾の影響で視神経が刺激され、人知を超えた動体視力を身に付けたガーブは、相手が撃った銃弾さえも目視で避けてしまうことから「死神」の異名を持っていた。
次元は敗北し、五右ェ門も斬鉄剣の切先を見極められて仕留めきれない。やがて不二子はガーブによって捕らえられる。ルパンと次元はガーブと対峙するのだが…。

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弾丸を目視で避けてしまうという、人間では絶対に不可能なことを可能にしてしまった殺し屋をルパンたちがどう仕留めるのかが見どころ。その影には、不二子のあまりにも非道な裏切りがあった。

ガーブの目的はあくまで不二子への復讐。不二子はガーブの情報を察知し先手を打つが、それも失敗に終わる。不二子はルパンたちをガーブに接触させるよう意図的に行動し、ガーブとルパンたちを敵対関係へと発展させる。しかし不二子も不二子で、あんなひどい裏切り方をすれば、どんな男でも復讐心を抱くのは間違いないだろう。

不二子を捕らえ、ルパンたちを誘き出すガーブ。「信頼していた人間に裏切られた気持ちが分かるか」と不二子に漏らすガーブだが、不二子にしてみればまさに因果応報である。そして、今回の事件に巻き込まれ、次元と共にガーブと対決するルパン。ワルサーもコンバットマグナムも通用しない相手に止めを刺したのは、ルパンと次元による奇跡的なコンビプレイだった。

冒頭、背後から追う銭形率いる警官隊の銃撃を、ルパンと次元が避ける演出は『ルパン三世PART2』「ルパン逮捕ハイウェイ作戦」のラストを、ガーブとの決闘の一部分は『ルパン三世PART2』「神様のくれた札束」の警官隊との銃撃戦の一部を模したもので、演出材料の流用を行っている。（どちらも吉田しげつぐが演出）

なお、第1話の作画監督を務めた荒木伸吾（荒木プロダクション）は、この第7話の作画をもって降板となる。

おたから

無し

登場人物

ガーブ（青野武）

売り出し中の殺し屋。暗黒街の大物でもあるルパンが彼との初対面で発した言葉は、知名度の低さから「一山幾らの駆け出し」。しかし、彼が死の渕から甦ったことと、銃弾を目視で避けてしまうことから「死神がのり移っている」と恐れられた超人的な殺し屋・死神ガーブであることを、この時のルパンは知らなかった。

元々はマフィアが経営するカジノの用心棒だったが、不二子と組んで金庫室を襲撃。現金の強奪は成功したかに見えたが、不二子が逃亡の際にガーブを見捨てたことから、逃げ遅れたガーブは全身に銃弾を浴びることになる。このことが原因で生死の境を彷徨ったため、不二子に強烈な恨みを抱いている。なお、銃弾を目視で避けることが出来るようになったのは、この時の銃弾が脳内に残っており、視神経を刺激するようになったからである。

不二子がルパンに助けを求めたことからルパンたちとも敵対関係となり、不二子を誘拐しルパン一味をおびき出す作戦を取る。不二子に「自分と同じ苦しみ（信頼している人間に裏切られる辛さ）」を味わわせようとするなど、「裏切り」という行為に対しての憎悪は相当なものであることが窺い知れる。一度ガーブに敗れた次元は対決に消極的であったが、次元の撃った銃弾をルパンが撃ち、ガーブの方向へ跳ね返すという予想外のコンビプレイを受けて死亡する。

セリフ

ルパン「不二子を信用するなんて、ドジな野郎だぜ。女と金はな、この手に抱くまで信じちゃいけねえってことよ」

ガーブ「信じていた者に裏切られて死ぬ気持ちがどんなものか……たっぷり味わうんだな」

次回予告

事もあろうに目の前で不二子を誘拐された。これもちょっぴり有頂天になり過ぎたせい？俺もドジったもんだ。てなわけでアラスカの奥地へ。そこにはヘンテコな奴らが俺が来るのを待ってやがった。次回「聖母マリヤの脱出作戦」

キャスト

ガーブ：青野武

スタッフ

脚本	金子裕
絵コンテ	吉田しげつぐ*1
演出	吉田しげつぐ*2
作画監督	荒木伸吾
原画	荒木プロダクション／姫野美智／佐々木聡／荒木賢一／高鉾誠
動画	小島愛子／山田雄二／飯田和憲／芽野京子／加藤涼子／葉慶勲
色指定	伊藤純子
彩色	柴田美知子／鈴木敏夫／柳田道子／大堀まり子
背景	石垣プロダクション／廣瀬義憲／袮津貴美子／渋谷幸弘／松岡聡
撮影	小林健一／関村真平／八木守行／野村隆／金井弘
連載	100てんランドコミックス（双葉社刊）
OPテーマ	「セクシー・アドベンチャ」作詞：宮原芽映／作・編曲：大野雄二／歌：中村祐介　バップレコード
EDテーマ	「フェアリー・ナイト」作詞：宮原芽映／作・編曲：大野雄二／歌：ソニア・ローザ　バップレコード
選曲	合田豊
音響効果	宮田音響
録音技術	前田正信
タイトルデザイン	高具秀雄／田上淑子
制作進行	篠原俊哉
録音	東北新社
現像所	東京現像所
制作	よみうりテレビ／東京ムービー新社