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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺橋掛人 第6話「本所の七不思議を探ります」

脚本:林千代 監督:松野宏軌 ゲスト:谷口香 黒部進

今回の仕事は本所。「清」の文字が浮かぶが、イマイチはっきり浮かばない。多助はこの文字を書き込むときに何か躊躇ったのだろうか。さて、巷では子供を塾へ通わせるのがブーム。中でも評判の「姉小路塾」はテキスト代金一分、月謝が一両という高級塾。オーナーの姉小路(谷口香)は姿こそ見せないがさる高貴なお方で絶世の美女らしい。そこに惹かれた柳次(津川雅彦)は早速営業へ伺うも、塾頭の生田(大竹修造)に門前払いを喰らう。

元締の お光(西崎みどり)は偶然幼馴染の お久(徳永まゆみ)と再会。子供一人を抱え絵草子屋を営んでいるが、どうも様子がおかしい。彼女の子供も姉小路塾へ通っているのだが、姉小路塾にテキストを下ろしている版元の長兵衛(黒部進)が頻繁に訪れる。姉小路塾は影で綺麗な奥さんに「美容薬」と偽り麻薬を与え、その見返りとして売春を強要する裏稼業を行っていたのだ。お久も、そんな麻薬中毒の一人だった。

松(斉藤清六)と おくら(萬田久子)も姉小路塾を調べていたが、そこで姉小路の本名が「お清」と判明する。その名前に狼狽する お光。「お清」とは お光の母親の名前と同じだったのだ。お光は独自で姉小路の過去を探る。ある村では庄屋と心中し、ある町では薬種問屋の主人と不倫の末に心中をしていたが、死体が上がったのはいずれも男のみ。お清は各地で身代わり心中を繰り返しながら富豪の財産を奪い、江戸へとやって来た悪女だったのだ。姉小路塾へ一人向かう お光。お清と対面し本当の事を聞くも、「お前は実の娘なんかじゃない。多助と言う哀れな男が、お前を抱いて一人で暮らしていたから、仏心を出して一緒に暮らしてやっただけさ」と言い放つ。しかし、お清はその後「どうせ、ウソで固めて生きてきた私さ……」と一人つぶやくのだった。母親を始末しなければならずその表情はどうしても曇る お光。柳次はそんな お光を見て、優しくフォローを入れるのだった。

姉小路塾の連中を始末する橋掛人たち。

お光主役編。実母であると見て間違いない お清を始末しなければならない辛さをかもし出す演技が光る。お清の過去は、至るところで心中事件を繰り返し富を増やしてながら江戸へ流れ着いたもの。必殺からくり人の大蔵屋(岡田英次)を匂わせる。実母を仕掛けなければならない事となり落ち込む お光に、「この世の中で女一人が生きていく……とてつもない現実が、あの女を襲ったんだろうよ」と慰める柳次の優しさにも注目したい。