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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺橋掛人 第8話「浅草の(秘)*1ドクロを探ります」

脚本:中原朗石森史郎) 監督:松野宏軌 ゲスト:山本紀彦 五味龍太郎

一年前に担ぎ呉服の行商仲間・仁平(山本紀彦)の借金の保証人になった柳次(津川雅彦)は番頭(北見唯一)からお金の催促をされて迷惑。さて、今回の裏の仕事の舞台は浅草。浮かび上がったのは「ドクロ」だった。巷では高利貸しから金を借りて自殺する人間が多数。弥五郎(五味龍太郎)と権造(柳原久仁夫)もそんな悪どい金貸しだが、二人の財布には「ドクロ」の根付け。マークする新吉(宅麻伸)。

やっとの事で仁平を探し出した柳次。借金の取立てを行うが、一足先に弥市(佐藤晟也)に金を取られてしまう。この仁平、あれからずっと借金を重ね、高利貸しから金を借りては別の高利貸しに返す自転車操業の生活。妻である おひさ(中條郷子)もその事実は知らなかった。おひさ は一念発起し屋台そば屋でパート勤めをすることに。

多助の寺へやってきた仁平は弥五郎一味の殺しを依頼。悪徳高利貸しには世間のみんなが泣かされている。大義名分は確かにそうだが、いざ金を分配する際に柳次が疑問を抱く。金を返せない人間が金貸しの始末を依頼する。これじゃあ金貸しはみんな地獄行きだ。それに、仁平があちこちから借りた金の使い道も分からない。裏づけ捜査の続行を提案する柳次。

新吉は以前知り合った おもん(親王塚貴子)に九官鳥をセールス。しかし断られてしまう。この おもん は女身一つでありながら両替商に大金を預ける資産家。その屋敷に、何と仁平が入っていくではないか。仁平はあちこちの高利貸しから金を借り、おもん に渡す。おもん は両替商にその金を預け利子を増やし、仁平は借金取りから逃げまくり返済を渋りながら金を増やしていたのだ。弥五郎一味始末依頼の真相も、自分に付きまとっているから、という短絡的なもの。そして、最後に仁平は妻である おひさ に五両の借金を盾に離縁を申し込む。仁平に尽くす おひさ は女郎屋に身を売るも、仁平の企みに気付きアジトへ乗り込むも仁平に殺されてしまう。大坂へと逃亡を計る三人。おもん は両替商からこれまで預けたお金と利子を含む二百五十両分もの為替を受け取り、仁平と共に金貸しを営む計画だが、その計画を橋掛人たちが阻止するのだった。

またもどんでん返し。視聴者の裏を書く筋書きと言えるか。悪役常連俳優である五味龍太郎と柳原久仁夫、そしてキーワードのドクロをこの二人に関連付けさせ視聴者の気をそちらへ向けさせた後、真実の悪人を暴いていくパターン。放送が開始して20分後くらいにいつもの依頼料分配のシーンになるのだが、ここで仁平の悪事を暴いていくルートがようやく用意される。仁平に一切怪しい素振を見せなかった構成も良い。おもん も謎の女的存在だったのが、ここに来てようやく悪人一味として描かれるのも、焦らされた視聴者にとっては心地良い展開に。……とまあ、素直に見ていればそう思うのだが、勘の良い人なら、仁平が金を借りまくる、おもん がなぜ大金を両替商に預けるのか、といった点でピンと来るかも。

今回は悪人たちの行動が、裏の仕事になるほど凶悪ではないように思った。金を借りまくって逃げまくっているだけなのだから。しかし、おひさ を殺してしまった点が一番大きいかな。今回は後期にしては珍しい悪徳役人や悪徳商人、ヤクザのような「力のある」悪人ではないため、その辺りの卑劣さがもう少し欲しかった。まあ、人殺しさえも辞さない連中だから、これまでにも数え切れない悪事を働いてきたのでは?という脳内補完も出来るだろうけど。しかし、悪人が頼み人、というパターンが二回続くというのもどうなんだろう。