脚本:平野靖士 絵コンテ・演出:曽我部孝 作画監督:青木悠三 柳野龍男
ロンドンの片隅にある名も無いパブに一人の女性・セーラがやって来る。今やTIMEの表紙を飾るほどにまで出世したロサンゼルス銀行イギリス支店のオーナーであるジャック・メトーサを追ってロサンゼルスからやってきたのだ。バーテンダーは早速彼女にお似合いのカクテル「リベンジ」を進呈。メトーサはセーラの父を殺し出世街道を歩み始めた男。セーラは復讐を目論んでいたのだ。一方、シェークスピアに憧れるこのバーテンダーと仲間たちは、パブの横を通る輸送車に積まれたイギリス支店の金塊を戴こうと計画。しかしメトーサは予め金塊に保険金をかけ、盗まれた事にして保険金と金塊を二重取りを目論む。金塊はメトーサと裏切った不二子が奪い返したように見えたが、不二子の裏切りはメトーサの悪事を証明するためのVTRを撮影するためのもの。メトーサが悪事一切を語るビデオテープが銭形のもとへ届けられメトーサは逮捕された。これによりセーラの復讐も完了。「残念ながらあの店は今日限り、店じまいさ。あのカクテルも、オーダーストップだ」「……さようなら、ルパン」
霧の中雨が降るロンドンを舞台に、暗い画面と雰囲気を維持しながら作劇されるムードたっぷりの作品。劇判音楽も、明るいものやコメディタイプのものは極力控えて使用されている。哀れな女性の復讐を、身分を明かさず手助けするルパンたちが心憎い。前半部分はセーラとルパンのやりとりに時間を割いているが、このやりとりにも作品独特のセリフ回しが数多く用意されていて視聴者の心をくすぐる。後半部分は金塊強奪計画の実行とメトーサの本性を暴くわけだが、不二子の裏切りもメトーサの悪事を暴露するためのもので、その結果メトーサは銭形により逮捕され溜飲が下がる展開に。最後の最後で「ルパン」の名を口にする構成も見事。「友よ深く眠れ」と並んでパースリ作品群の中でも一、二を争う出来なだけはある。前半部は青木悠三が修正を担当。セーラの少女時代の回想シーンでは光と影を表現したインパクトの強い作画。青木自身が演出から作画まで全てを担当したシティーハンターのエンディングに活かされている。後半部は柳野龍男。キャラクターが突然二頭身になったりと子供向けの作画が目立つが、これは作品のムードから言って少々ミスマッチか。また、原画に山崎理の名前がある。セーラ役は「南原ちずる」こと上田みゆき。ジャック・メトーサ役は矢田耕司。
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