脚本:篠崎好 監督:松野宏軌 ゲスト:根本律子*1 西沢利明
今回の仕事は神田春日坂。通称「ゆうれい坂」と呼ばれており、その名前に松(斉藤清六)は弱気に。浮かび上がった文字は「り」。帰り道、おくら(萬田久子)とゆうれい坂を通る松だが、そこには幽霊のような華奢な人間の姿が……?松は腰を抜かして熱を出してしまう。
新吉(宅麻伸)が調べてみると、10年前神田春日坂で小間物屋を営んでいた若松屋の女房が主人を殺害し、死罪となった事件があった。幽霊騒ぎも、その時無罪を訴えていた女房が未練を残して出るのだと周辺住人のもっぱらの噂。そんな中、殺人事件のニュースが飛び込んでくる。殺されたのは日本橋界隈を縄張りとする「般若面の喜平次」と呼ばれる悪徳金貸し。この男に泣かされ自殺した人間は数知れずの悪党。顔を滅多切りにされ人相は分からないが、背中の般若面の刺青が何よりの証として早速墓に埋められた。しかし「喜平次に会いたい」と言う女が北町奉行所を訪れ、更には墓を暴いて死体を確認。「彫り物が違う……」と一人呟く。
その女・おりん(根本律子)と矢場で知り合った柳次(津川雅彦)は彼女が本物の喜平次を追っている事を知る。彼女は若松屋夫婦の一人娘で、主人を殺害した「般若面の喜平次」を追って自らの体を切り売りしていたのだ。当時事件を担当した北町奉行所吟味方与力・佐久間(西沢利明)に、主人を殺したのが喜平次の仕業だと容疑者である女房と共に必死に訴えた おりん だが、佐久間は全く聞き入れず結果母親は死罪となってしまった。一家をメチャクチャにした喜平次を殺して恨みを晴らしたい……そう願う おりん こそが、今回の頼み人だったのだ。
佐久間は おりん が探す喜平次と係わり有りと睨んだ橋掛人。身辺を調べることに。おりん は江戸を出ようとするが、佐久間の配下・三五郎(堀田真三)に捕まってしまい、佐久間の屋敷に連れて行かれる。佐久間はおもむろに上半身裸に。その背中には、何と般若面の刺青が施されていた!今や北町の影奉行とまで言われる実力者が、実は「般若面の喜平次」だった……その秘密を知った おりん は殺されてしまう。
深夜、悪どく稼いだ金を数える佐久間を、橋掛人一味が仕置きにかける。
知的でダンディーな西沢が、役人でありながら背中に刺青を背負い悪どい金貸しを行う強烈なキャラクターで登場。深夜、上半身裸のまま畳の裏に隠した小判を、笑みを浮かべながら数える表情も不気味。その西沢を足蹴にしながら、金糸を首に絡みつかせる柳次もカッコイイ。金糸を回す時の津川の顔が物凄く力が入っていて必死。ちょっと面白い。根本律子も若いね。