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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

ルパン三世PARTIII 第40話「一枚のお宝で大混戦」

脚本:平野靖士 絵コンテ・演出:曽我部孝 作画監督:柳野龍男

最高賞金5000万ドル。庶民の夢「アメリカン宝くじ」を主催するロッド協会の会長トニー・ラッキーノは抽選機のスロットにイカサマを仕込んで庶民の夢を踏みにじる。最高賞金を頂戴しようと予め峰不二子を潜り込ませて動向を探るルパンだが、イカサマを行っているという抽選機のコントロールルームへの警備は厳重。指紋照合システムで銭形警部の目は誤魔化せても、警備システムまではさすがに誤魔化せなかった。そこで次元と五右ェ門に協力を請い、トニーの足跡を採取しロッドセンターを停電に。ワックスの足跡を辿ってコントロールルームへの潜入に成功したルパン。賞金が格納された扉の開閉スイッチを探す。さて、公務員ながら庶民の夢を追いかける銭形警部。ルパンの罠に嵌ったトニーのイカサマによって最高賞金額が当選!?ところがトニーの手下も当選を主張。一等の宝くじが2枚存在しお互い一歩も譲らぬ展開に?

序盤から様々な伏線を張り巡らせ最後に一気に解決する構成。解説が少々長くなるので分割していくことにする。

峰不二子を潜り込ませるもイマイチイカサマの確証を掴みきれないルパン。一方、アメリカの高額賞金宝くじ「ロト」をモチーフにしたアメリカン宝くじ。アメリカンドリームに夢を馳せる人々の中に銭形警部の姿も。銭形警部が5000万ドルの警護を行う事を事前に察知したルパンは、銭形の気を逸らせる作戦に。まず自分が「1023948820(トニーさんくじはハズレ)」の番号の宝くじを購入し二枚コピー。内一枚を銭形に渡す。トニーは元々手下に当選番号となる「1234567890(この番号もどうかと思うが)」のくじを渡していたが、ルパンはそれをコピーしてあるもう一枚に摩り替える。トニーはこの罠によって「1023948820」を当たり番号にしてしまうのだが、これによって銭形とトニーの手下、両者が一等賞金獲得の権利を得てしまうことになるのだ。

さて、イカサマを行うコントロールルームへの通路は特殊になっており、警備システムとして踏んで良い床と踏んではいかない床がある。トニーはサングラスで判別することが可能だが、最初ルパンはそのシステムを分からなかったため、踏んではいけない床を踏んでしまい火にあぶられるわ機銃の嵐を喰らうわレーザービームを喰らうわで止む無く退散することに。踏みつけ可否の床を見極めるため、一等賞金抽選日の当日、次元が控え室前の廊下に大量のワックスをかけ、トニーの靴底はワックスがこびり付いた状態に。更には、五右ェ門がロッドセンターの電線を斬鉄剣で切断。予備の発電機が発動する間の1分間の暗闇にルパンはワックスが付いた足跡を辿ってコントロールルームへ潜入。これには、会場にいる銭形警部を含む参加者が自分の番号を確認するまでの時間稼ぎの意味もあった。ルパンにサングラスを奪われたトニーは急いでコントロールルームから脱出しようとするが、発電機が発動し足跡が消えてしまい、ルパンと同じく機銃の嵐を喰らい地下へ放り出されることに。

会場では銭形とトニーの手下が一等賞金5000万ドルの権利を主張しあって一歩も譲らず。収集がつかないまま物語は終わる。当たりくじが二枚あることに顔が一気に青ざめるトニー。あの後一体どうなったのか?恐らく偽モノってことで無効だろうな。一方余裕のルパン。それもそのはず。「どっちも偽モノさ。本物は最初っから俺が持ってたんだ。だから賞金の5000万ドルは、正真正銘俺のモノ。今度ばかりは父っつあんも、文句は言えねえさ」文句を言えばロッド協会のイカサマがバレるわけだしね。

トニー・ラッキーノ役には青野武。今回で4度目か。パースリゲスト最多出演の一人。トニーの手下役には「ジャギ」であり「五部刈警部」である戸谷公次。この当時はサンライズの富野作品、東映作品とレギュラーの掛け持ちが多かったはず。抽選イベントの司会者役には「くまのプーさん八代駿。作画的には癖が強すぎるものになっているが(原画が柳野龍男と古田詔治の二人のみ)、物語の構成としてはお見事。平野靖士カクテルの名は復讐を含む5本の作品を担当しているが、どれも破綻の無い良作を生み出している。あくまでアニメとして魅せることを念頭に、ルパン三世に対しての理解が深かった脚本家の一人であったと私は考えています。

ルパン三世 PARTIII Disc.8 [DVD]

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