脚本:柏原寛司 絵コンテ:亀垣一 演出:飯島正勝 作画監督:井上昭子
ニューヨークで開かれる全米宝石商による宝石展示会。この宝石をごっそり戴くために展示会場地下を掘り進むルパンたち。ある日作業を終えたルパンの目前に現れた一人の子供・マーク。マークはルパンの事を「パパ」と呼んだ。「メアリー」と言う名の母親からの手紙もあった。続いてビビアンと名乗る黒人の少女も現れ、イーストビレッジのアジトの前には乳児までもが……。次元からは「お前は!なぜこの町に来ると欲情するのか!?」と罵られ、五右ェ門からも「付き合っていた女はいたのであろう」と問い詰められる。呆れて喫茶店でコーヒーを飲む次元だが、次元の前にも子供が現れ「パパ!」。これにはルパンと五右ェ門も驚きの表情。次元はただ笑うしかなかった。「まったくなんて奴らだ。拙者の知らないところで子供ばかり作りおって……不潔な」と呟きながらおしめを買う五右ェ門。そんな彼の前にも「お父さん」と呼ぶ男の子が……。とうとう子持ちのパパとなってしまったルパンファミリー。宝石商の一人である実業家・マッケィに近づき同じく宝石を狙う別行動の峰不二子にも呆れられ、宝石強奪に成功するも今度は銭形警部に付け回されて良い迷惑。更にはマッケィの宝石が偽物であり、ニューヨーク市警に逮捕された不二子の逃亡劇にも巻き込まれ散々な目に。子供たちはマッケィが経営するアクターズスタジオの子役たちで、父親の情に目覚め始めていたルパンはマークから「ルパンおじさん!」と呼ばれ少々複雑な心境。そんな純粋な子供たちを騙し逃亡を計るマッケィから本物の宝石と宝石にかけた保険金を奪ったルパンたちだが、銭形が食い下がる。「いいか?人の子の親というのはだな!」
「キター!キタキタキタキタキタキター!遂に来ましたー!ルパンさん!」と次元が裏声で奇声をあげるくらいに衝撃的な展開で始まる冒頭。女遊びの激しかったルパン、遂に「四世」誕生で腹を括るか?一方、身体を武器にマッケィをたらし込み、展示されている宝石全てを奪う計画の不二子さん。掴んだ宝石が全て偽物で、しかも自分はニューヨーク市警に逮捕されてしまうという大ドジ。「よくもハメてくれちゃったわね!」確かにマッケィは不二子をハメたわけだが、パトカーを拝借して逃亡する最中にルパンたちに出会い巻き込んでしまう。その理由が「(警察から追われるのが)あたし一人じゃ癪じゃないの!」。柏原寛司による大胆な展開と不二子の「女のワガママ」を引き出した作劇。どうしてルパンファミリーの前に子供達が都合良く集まってくるの?という疑問点もあるが、マッケィの差し金だろうか。まあ、そんな細かい事はこの作品にとってはどうでも良い事で、とにかく勢いがあり肩に力を入れずに楽しめる作品。子供達がプラスチック爆弾で遊んでいるシーンで、次元の声に隠れた山田康雄の声が地声になっている(地声に聞こえる?)シーンがある(後半舌がもつれたような言葉になっていることから、単純な編集ミス?)。また、一度だけだが五右ェ門が自分たちの事を「俺(たち)」と口にするシーンもある。マッケィ役は安原義人。当時は『キャッツ・アイ』の内海俊夫を熱演していた。子供達の配役には、深見理佳(現・深見梨加)、TARAKO、池本小百合、近藤玲子の名前が。脚本が柏原、絵コンテが亀垣一……『セブンデイズ・ラプソディ』を思い起こさせる。
銭形警部の慟哭
「知らなかったお前達が子供を……お前達みたいな奴らにも家庭があったんだぁぁぁぁ……それに比べてこの俺はぁぁぁ……。こんなバカどもを相手にして、温かい家庭も優しい妻も、かわいい子供も、俺には作ることが許されないのだ。妻が欲しい〜子供が欲しい〜」
※『ルパンvs複製人間』における妻帯者の設定はここではなし。
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