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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺まっしぐら! 第8話「相手は大阪の大塩平八郎」

脚本:保利吉紀 監督:津島勝 ゲスト:平泉成 大塚良重 升毅

天保4年9月26日。全国では凶作が続き、いわゆる「天保の大飢饉」で一揆や打ちこわしが頻繁に起きていた。金が欲しい秀(三田村邦彦)は宗右衛門(睦五朗)に仕事を催促。そこで宗右衛門が渋々出した殺しの相手は、大坂の大塩平八郎平泉成)。しかしどうも宗右衛門の顔は暗い。

さて、お銀(秋野暢子)は同じ職場で友達になった お仙(大塚良重)とお別れの挨拶。お仙に良い人が出来た、というのが表向きの理由だが、実は お仙は仁十郎(藤岡重慶)配下の仕事人。秀の仕事は大坂で、堺屋五兵衛(西山嘉孝)の元を尋ね協力を請う予定。お銀も秀との絡みで大坂へ行くのだが、綾麻呂(笑福亭鶴瓶)は大塩平八郎の事を知っており、大坂東町奉行所でバリバリの与力であった事から二の足を踏むも、お銀に急かされて付き合うことに。

お銀は綾麻呂の紹介で大塩平八郎の屋敷へ奉公人として潜入する。大塩平八郎の塾「洗心洞」ではある問題が起こっていた。それは、平八郎が極秘裏に堺屋から購入した大砲が、何者かによって奪われてしまったことだ。その場所を探す平八郎配下の千羽藤吉郎(升毅)だが、同じく門下生の嘉助(伊庭剛)は堺屋と内通。堺屋は大砲をより高い顧客に売ろうという考えで、そのため大塩平八郎が邪魔になり、旧知の仲である仁十郎に平八郎殺しを依頼するのだが、仁十郎は仲間である宗右衛門にこの仕事を振り秀たちが請け負った、というのが今回の仕事の真相だったのだ。

平八郎と接する内に、殺す相手ではないのでは……と疑問を抱き始める お銀。やがて綾麻呂より真相を聞かされ、更には事情が変わり平八郎を狙うことになった お仙たちとも一戦交えることになってしまった。お銀は お仙と「最後のお別れ」をして一騎打ちに臨む。堺屋一味を始末した秀たちは江戸へ。「大塩平八郎の乱は、これより三年半の後のことでした」

江戸時代の呼び方は「大坂(おおざか)」だが、サブタイトルでは「大阪」となっている。さて、ここでも宗右衛門と仁十郎の「黒い繋がり」が。宗右衛門と仁十郎は「秀」を標的にして裏の世界の勢力圏を競っているわけだが、仁十郎が堺屋に宛てた手紙では「仲間の宗右衛門の配下を使う」と記している。つまりはライバルでありながらも、お互い仕事のやりとりは行うといった関係であることをここで窺い知ることができる。まあ、最終回やその一つ前の話を見れば、その辺りは何となく分かるのだが。そして、今回も仕事をダシにして秀たちを狙わせるゲームを行うわけだけれど、それにしては宗右衛門が秀の事を心配しているのは一体……と感じる次第。やはり宗右衛門としても今回の仕事は不本意だったのだろうか。

今回のお話は お銀主役編と言っても良い。友達になった お仙が仕事人であり、お互いの生死を決するための「最後のお別れ」を行うシーンや、一騎打ちのシーンなど見所は多い。大塩平八郎が花を愛しむ心を持ち合わせていた事で、標的である信憑性に最初に疑問を投げかけたのも彼女である。この後事のからくりの真相を知ることになるのだが、綾麻呂は一体どこでこの情報を仕入れてきたのだろうか……。

まっしぐら!最大の個性である「史実上の人物の登場」と「秀が刺客に狙われる」の部分に、途中から顕著になった「ミステリアスな依頼人の存在」を最大限に押し出した今回の作品だが、大塩平八郎という超有名人を標的にした後のドンデン返しとしては少々物足りなさがあったかもしれない。あと、大坂に入ってからの秀と東吉の出番が少なすぎる。

東吉、また誰とも絡まず一人で大坂へ来て、一人で江戸へ帰っていく。

史実人物

大塩平八郎は蔵書5万冊を売って作った一千両を、三日間に渡り困窮する民一万戸に施した、とあります。天保8年2月29日、大坂の町に突如大砲の音が轟いた「大塩平八郎の乱」。誰もが歴史で習うこの人物が、なぜ標的に?