脚本:中村勝行 絵コンテ・演出:奥脇雅晴 作画監督:青木悠三
ベルギー財務省主催のオークションで「ハディスの像」と呼ばれる巨像を落札したキングスランドのKL財団。世界一のダイヤ産出国が巨額で落札した理由は、頬の部分にある100カラットのダイヤ「ハディスの涙」を手に入れるため。しかし、ルパンたちはいとも容易く「ハディスの涙」を盗み出してしまう。逃亡の最中見知らぬ連中に追われるルパンたち。ルパンが逃げ込んだ屋敷には美女・マリアがいたが、そこにはKL財団の会長・ゴードンもいた。ゴードンはルパンに会うために「ハディスの涙」の噂を撒いたのだ。「ハディスの涙」はただのガラス球で、その中にはキングスランドの国家機密が隠されている。敵対国であるサマノワ共和国から守りながら本国へ届けて欲しいというゴードンの依頼を、ルパンは受けるが次元と五右ェ門は警戒する。サマノワへ向かう途中、マリアはサマノワの情報局長・ギルバに捕らえられてしまう。救出に向かうルパンだが、その一方でKL財団は「ハディスの像」を運び出した。ルパンたちはマリアと共に囮に使われたのだ。実際に機密が隠されていたのは彫像そのものであり、核開発のためのプルトニウム精製技術ではなく、プルトニウムそのものが輸送の目的だったのだ。しかし、ゴードンは本国へ輸送するつもりはなく、別の国により高い値段で売りさばくつもりだった。ルパン一味を消そうとするゴードンだが、返り討ちに遭いプルトニウムは海に沈んでいった。
「ハディスの涙」を手にした時点で偽物と気付かないルパン。それほど巧妙なイミテーションだったのか。そのルパンたちを騙して利益を得ようとするゴードンはマリアを娘と偽り二人を囮として使う。サマノワのヘリ部隊との交戦では、KL財団の私設部隊を使い派手に応戦。ヘリを撃退するに至ったが、常人を越えた存在である五右ェ門や次元にはさすがに通用しなかったようである。峰不二子が欠席のため、今回はマリアがヒロイン。小山マミ(現・小山茉美)が声を充てているが、『風魔一族の陰謀』では実際に峰不二子の役を演じている。ゴードン役は大平透。ロメス大佐役は矢田耕司。ギルバ役には千田光男。
脚本・中村勝行
取立て特筆するべきものでもないかもしれないが、今回の脚本は『必殺シリーズ』などで知られる中村勝行が執筆している。中村と言えば、同時期柏原寛司と共に現代版必殺シリーズとも言うべき『ザ・ハングマン』シリーズのメインライターを務めており、また1985年は崔洋一が監督として参加した『特命刑事 ザ・コップ』を池田一朗と共に携わっていた頃である。この作品が1985年8月放映なので、ちょうどザ・コップが終わってハングマンまでの間が空いた時に執筆したのだろうか。恐らく柏原寛司の人脈で参加したのだとは思うが。なお、『ザ・ハングマン6』『ハングマンGOGO』では、柏原、中村の他にも、大川俊道、園田英樹、平野靖士といった、ルパン三世PARTIIIに参加した脚本家がそれぞれ作品を執筆している。
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