脚本:江原利夫 保利吉紀 監督:松野宏軌 ゲスト:田口計 黒部進 筧晃司
天保4年10月17日。上州草津では関八州取締役・佐久間直正(黒部進)の後ろ盾で温泉宿を乗っ取る吉金屋(田口計)が幅を利かせていた。同じく宿を経営する浜田屋藤兵ェ(寺下貞信)は吉金屋からの買収の誘いを断ったために殺されてしまった。藤兵ェの娘・おちか(井上ユカリ)は江戸へ。追って来た吉金屋の手下に襲われたところを、秀(三田村邦彦)が助け宗右衛門(睦五朗)に引き渡す。
裏の仕事になって草津へ向かう秀。近々大目付・黒田和泉守(須永克彦)が保養にやってくることを頭に入れながら仕事をしなければならない。綾麻呂(笑福亭鶴瓶)と東吉(西郷輝彦)は公家と配下に変装し吉金屋へ潜入する。ある日、吉金屋が往来に出た途端、若侍・浜田源蔵(筧晃司)が命を狙った。浜田は元岡倉藩の藩士であり、父を殺した剣術指南役こそ吉金屋だったのだ。仇討赦免状を持って浪々とする内にようやく仇である吉金屋を見つけ出したのだが、歯が立たないと意気消沈する。秀はそんな浜田にアドバイスを与える。大目付が来た時に隙が生まれると。そして、秀たちもその時にしかチャンスが無いと行動に移すのだった。
浜田は吉金屋へ乗り込み決死の覚悟で挑む。しかし吉金屋と浜田の腕の差は歴然で、浜田はじょじょに追い込まれてしまう。しかし、一瞬の隙を突いて秀が吉金屋を仕留める。そして、既に息絶えた吉金屋の体を、浜田の刀が貫いた。その騒ぎに驚き黒田和泉守がやってくる。仇討赦免状を見せる浜田。今回の仕事は、若侍の仇討ち美談として解決されたのであった。
被害者→頼み人→元締からの仕事、と基本的な流れを押さえた形で始まっていく今回のお話。公家に変装して潜入する際の二人の小芝居も面白い。主犯格が田口計、バックに黒部進、用心棒に出水憲司と王道のキャスティング。ゲストの一人、筧晃司は現在ショッピングチャンネル「QVC」のナビゲーターをしている。
殺しのシーンでは、綾麻呂の殺しが何ともユニーク。厠(便所)で「う〜ん、う〜ん」と大袈裟に唸り、悪人を呼び寄せ「出なくてのぉ〜」のセリフの後ブスリ。悪人絶命後急いで便所から出て「あー、すっきりした!」。一方で、東吉と出水憲司の対決は迫力満点。裏庭の狭い場所での対決で、槍を使う東吉には不利かとも思われる場所だが、槍を縦に振り回し見事に始末をつける。
さて、今回ギリギリまで登場しないのは秋野暢子。殺しのシーンだけに参加し、セリフも無し。