脚本:保利吉紀 監督:松野宏軌 ゲスト:亀石征一郎 南條豊 村田みゆき
唐十郎(沖雅也)が持ってきた「下目黒」の絵だが、奉行の支配下にある場所での殺しに二の足を踏む座員たち。しかし持ちかけられた仕事は断れないとそれぞれ下目黒へと潜入することに。鷹匠が赤く染まったとおり、ここ下目黒は将軍家御愛鳥である鷹の訓練場。更には、氏神を奉る社の修復に欠かせない茅が訓練場に茂っているため、庄屋の孫兵ヱ(村田吉次郎)は鷹匠である前田伊三郎(亀石征一郎)の機嫌を取り刈り取りの許可を申請するのだが、前田はその弱みに付け込み村人を食い物にする。
女郎屋を貸切りドンチャン騒ぎで費用は全て庄屋持ち、村の女を奉公に差し出せと強要するがその実女郎に売り飛ばし荒稼ぎ、邪魔をしそうな村人は容赦なく斬殺と惨い仕打ちを繰り返す前田一味。庄屋の娘・おそで(村田みゆき)と恋仲である友吉(南條豊)も妹を奉公に差し出すように強要されたが、女郎屋を脱走した挙句死んでしまう。妹の仇を討とうと無謀にも前田一味に襲い掛かるが、敵わず山へ逃走。おそでを人質に呼び出され斬られてしまう。
「鷹匠なら鷹を馴らしてりゃ良いものを……人を馴らそうなんてそうはいかないよ!」前田一派を始末したお艶(山田五十鈴)たちは、唐十郎の提案どおり前田たちの死体を目黒川へと流す。その死体に捕まり川を下っていく御鷹様であった。
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第3話が茶坊主一行の悪行ならば、こちらは御鷹匠一行の悪行を描いた作品となる。弱みに付け込み徹底的に搾り取る構図はどちらも同じ。友吉が前田一味から山を下りるよう強要された時、唐十郎が制止する。「生きていてこそ、幸せを掴んで欲しいんだ」のセリフも虚しく、下りて行って殺されてしまう。その日の夜にはお艶たちが前田たちを始末するわけだから、おそでの体も守られただろうし、被害者0で仕事が済んだかもしれなかったのだが、何だかあえて被害者を出したような気がして少々興ざめ。まあ、その前に「もう俺は死ぬ覚悟が出来ているんだ」と生きることへの絶望感を匂わせるセリフもあったので、それに準じたのだろう。
殺しのシーンも至極平凡といったところで見所は特になし。むしろ第3話、第4話、第5話と殺しのシーンがあまりに凝り過ぎていたために、かえって平凡に映ったのかもしれない。宇蔵に魚篭を被せられて、目を思い切り見開く遠藤征慈の顔が面白い。つーか、遠藤征慈のクレジットがエンディングになかったのだが。
余談。ねずみ男みたいな顔をした俳優の名前が、ここにきてようやく「山本一郎」と判明。顔と名前が一致しなかった長年の溜飲が下がる。現在は「結城市朗」と名前を変えてご活躍中。他作品では助け人走る「島抜大海原」あたりが記憶に残る。