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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

必殺仕切人 第3話「もしもお江戸にピラミッドがあったら」

秩父山中に突如として現れた「魔の山」。巨大な狛犬の目が光るこの不気味な建物周辺では変死事件も発生しますます恐怖が広がる。新吉(小野寺昭)の下で修行に励むおみね(笠間一寿美)は暇を貰い兄・源次(水上保広)と休暇を楽しもうとするも、源次は見知らぬ美女に誘惑されていた。源次が連れられたのは魔の山。その中では勘定奉行・田部(藤岡重慶)の指図によって偽小判が作られていた。

この一件を探る新吉の前に美女が現れた。美女・きの(岡本広美)は「ある一族の女王の血を引く家柄で、自ら選んだ男と交わり長老に報告しなければならない」と事情を説明するも新吉はこれを拒否。替わって勇次(中条きよし)が交わることになり、源次と同じように魔の山へ。勇次はこの一件に薄々勘付いていたのだ。

偽小判が完成し、拉致されてきた男達は口封じのために殺される。逃亡の際、石扉の仕掛けを解くため源次は犠牲に。魔の山へ潜入していたおみねも斬られてしまった。勇次に助けられたおみねは、勇次に恨みを晴らしてくれるよう頼んで息絶える。仕切人たちは恨みを晴らすことに。

必殺仕切人/必殺仕事人V [VHS]

必殺仕切人/必殺仕事人V [VHS]

どう考えても「ピラミッド」を模したとしか思えない魔の山。コメディパートでも、「三角くじ」やら「ピラミッドパワー」などピラミッドに纏わるアイテムやキーワードが続出。挙句の果てには「クレオバ族のトラ」なんていう珍妙な人物が登場する始末。どうせなら「アントニー」みたいなキャラクターを出せば良かったのに。一方で、スキゾーがピラミッドに関する学術書を読み解いたり、古代エジプト文明に詳しかったり、石を割るダイナマイトを完成させるなど、外見や言動に似合わず学のあるところを見せる。ひょっとしたら糸井貢や蘭兵衛(高野長英)とタメを張れるんじゃないか?こいつは天才系だな。

とまあ、一見トンデモ系の話かなー、と思われがちだが、実は何の捻りも無いお話で、この奇抜な肉付けが無ければ時代劇によくある「偽小判作り」のお話に過ぎず、贋金作りのアジトと人足を集めるための手段だけにピラミッド的エッセンスを加えただけなので、内容は平凡。ただ、用済みの人足を斬る場面はなかなか凄惨。

勇次が魔の山に潜入したのが「親の顔を知らず、兄妹肩を寄せ合って生きてきた二人が他人事とは思えないから」という人間的な理由。結局情で動いてしまうんだな。お清が裏稼業の人間としてお金を受け取るのは初めて。そんな彼女は2話で強姦され生きる希望を失っていたが、スキゾーのおかげで大分元気になりました。

キャスト

お国:京マチ子/新吉:小野寺昭/お清:西崎みどり/日増:山本陽一/お勝:ひし美ゆり子

きの:岡本広美/綿貫:田畑猛雄/加納:玉生司朗/源次:水上保広

勘平:芦屋雁之助

おみね:笠間一寿美/石上:出水憲司/百姓の男:藤野亨/百姓の女:中西喜美恵香具師:松尾勝人/瓦版屋:大矢経典/行商人:宮武要人/遊び人:真伏瀬良

田部:藤岡重慶/龍之助:高橋悦史/勇次:中条きよし

スタッフ

脚本:中原朗/監督:家喜俊彦