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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

富野杉井講演会


d:id:nuryougudaさんのブログより。

この2年くらいついにあのー、デスティニーのファンあ、ファンじゃない、スタッフ見ても、ぶん殴るという衝動を押さえる事ができるようになりました。

http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20070216/1171648985

すごい。自重できるようになったんだ!『電脳戦機バーチャロン』の対談で、メンバー全員に向かって「ここにいる連中は全員馬鹿だよ」とか言っていた富野さんも、こういうことを口にすることができるようになったのか。

でも、『ガンダム』としての「ワールド」がどんどんと広がっていく……つまりは、富野の手を離れる形でビジネスとしてガンダムの世界が広がっていく現状で生かされている自分を認識した時、そう考えるほうが自分にとって精神的に「楽」という、彼なりの結論に達したんだろうな。だからこそ、「今の若いガンダム世代との共有や共振」「後5年生きている時間の中で、ガンダムワールドの中における『自分のガンダム』を作りたい」という意識が芽生えたのだろう。

若いガンダム世代との共有や共振なんて、ガンダム映画三部作が終わった後のガンダムファンを「病人」と称し、『機動戦士Zガンダム』でカミーユを彼らに相通じる「性格破綻者」に作り上げた当時の富野さんからは想像もできないし、自らを「ヒットメーカーではない」と位置づけ「何か挑戦の要素がない仕事は、人を停滞させるだろう。製作者は歳をとり、パワーダウンしているのである(『機動戦士ガンダム大全集』p.121)」と、機動戦士Zガンダム製作時に既に衰えを自覚していた富野本人が65歳〜70歳になった時に生み出すガンダムが、果たしてどのようなものになるのか……もし本当に作られるのであれば、非常に興味深い。できれば、パラレルではなく、ここであえて宇宙世紀モノを見せて欲しいものだが……そこまでのパワーを要求するのは酷か。

さて、俺はその後の杉井ギサブロー監督のコメントの一つに目を付けた。

杉井監督「アニメーションもこれからどんどんどんどん変わっていくと思うんですよ。で、これからもきっと変貌していくガンダムって言うのは、確実に富野監督ではなくて、変貌させた方の、若い人たちが引き継いで、またその、変貌ガンダムって言うのを作るのかもしれないし、本当に変貌しきった時に寿命が尽きて終わるのかもしれないし、そういう意味で楽しみですよね。

他の物は終わってますよ。ほとんどの作品がね。ある役割を終えて。

ある意味芸能ってそれでいいわけじゃないですか。そこで花咲いて消えて、花咲いて消えて。そういうものがが芸能だろうというふうに僕が思っている中では、特にガンダムの残りかたって言うのは、残りかたって言うか変貌のしかたが面白い」

http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20070216/1171648985

他の物は終わってますよ。ほとんどの作品がね。ある役割を終えて。

「他の物」と来て『ルパン三世』のことが浮かんでしまった……。そういや、杉井ギサブロー監督は『ルパン三世』のアニメ化を最初に提案した人物で、1996年の『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』の監督もやっているけれど、今のルパンは彼にしてみれば、役割を終えて終わっている作品の一つなのかもしれない。それがどういう役割かは分からないけれど。作品としての「残り方」が面白くないのかもしれない。これから変貌していくアニメーションの中で、ルパンは若い人たちが引き継いで生き残っていけるのだろうか。大きなお世話か。

「「損」をしたくないというのはどういうことかというと、作品はね、百年先にも語られていなくちゃいけないのよねって。今年だけ興行収入一位になってもしょうがない、そんなの意味ないのよね。」

「それは年表にしか残らない。僕は年表に残るんじゃなくて、百年後に語られる物語を作り上げたいって言う「欲」を出す。」

「で、えー。それで沈没をしてるって言うのが僕のガンダム以後の仕事。」

http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20070216/1171648985

恐らくガンダムは百年後にも何らかの形で語られる作品だと思う。でも、同じく継続しているルパンは、果たしてそうなるだろうか……?富野も杉井もルパンに参加していたスタッフという、何たる皮肉。