吉原で夕顔花魁の足抜けが発生。しかしそれは足抜けではなく、自分の親の仇であるらしき男を追いかけたに過ぎなかった。夕顔花魁から親の仇である「かまいたち」の取立てを依頼されたおえん。昔は「岡田屋又兵衛」を名乗り、今では「佐原屋市五郎」を名乗るこの男こそ、方々から金を借りては姿をくらます「かまいたち」だったのだ!
事件の黒幕、岡田屋役に藤岡重慶を迎えた今回のお話は、方々から多額の借金をしておきながら、そのまま行方をくらませるという性質の悪い「かまいたち」を成敗するもの。
夕顔花魁は元々柳屋という染物問屋の娘だったのだが、その柳屋が11年前に馴染みの呉服問屋・岡田屋又兵衛から五百両の開店資金用立てを依頼されたことから、運命は狂い始める。付き合いのある間柄ゆえ二百両を工面する柳屋だが、それっきり二百両を返す気配の無い岡田屋は遂に逃亡。夕顔花魁の父親は首を括り、母親も病床に伏せってしまった。店は潰れ、吉原へ売られてきた夕顔。
奉行所すらも巻いてしまったその「かまいたち」の手がかりは、岡田屋が夕顔の父と争った際に出来た腹の傷。ところが二ヶ月ほど前、その腹に傷のある仇らしき男に、夕顔は抱かれてしまったのだ。この男の名前は「佐原屋市五郎」。まず岡田屋周辺の聞き込みから始めるおえんだが、岡田屋は先代・喜の字屋仁兵衛が唯一取立てに失敗した相手でもありまさに「因縁の相手」。
岡田屋の菩提寺に行っても人別帳からは名前が抜いてあるし、更に岡田屋は柳屋だけではなく魚屋など他の店からも多額の借金をしていて、合計千両近い借金があるらしい。千両の借金を踏み倒して逃げるなんて、相当悪どい男。更におえんは岡田屋の配下・船頭の権次の罠に嵌って殺人容疑をかけられてしまう。そこで村木の旦那の出番。そう、今回は村木の旦那が大活躍の回なのです。今回、村木は色々とおえんの仕事に付き纏うのだが、おえんが番屋で取り調べを受けているときにはわざわざ乗り込んで来て定町廻りの同心を一喝してしまうし、おえんたちが武州・八王子で岡田屋を追い詰めた際には、新五郎に代わって大立ち回りを披露。「俺は村木だぁ!」と呟きながらの殺陣がユニーク。意外と腕が立つところを見せてくれた。「岡田屋又兵衛」と「佐原屋市五郎」が同一人物であるための腹の傷を確かめる際には、役人である村木がちゃんと検分してくれたし、おえんたちの大立ち回りも大目に見てくれたりと、なかなか頼りがいのあるところを見せてくれます。酒と女(特におえん)には弱いのだけどね。
しかし、岡田屋の腹の傷を確かめる際、山本陽子、中山仁、山城新伍、藤岡重慶、宅麻伸が一同に介するんだから、本当豪華な配役だよな……。今回の脚本は『アテンションプリーズ』『フランダースの犬』など、ドラマ、特撮、アニメと幅広く手がけるベテラン、加瀬高之が担当。監督は『鬼平犯科帳』などで知られる高瀬昌弘。
キャスト
スタッフ
原作 | 南原幹雄(新潮文庫・小説推理より) |
---|---|
チーフプロデューサー | 江津兵太(テレビ東京)/桜林甫(松竹) |
プロデューサー | 小川治(テレビ東京)/中嶋等(松竹)/斉藤立太(松竹) |
脚本 | 加瀬高之 |
撮影 | 伊佐山巌 |
照明 | 井上武 |
美術 | 倉橋利韶 |
録音 | 中路豊隆 |
編集 | 園井弘一 |
殺陣 | 宇仁貫三 |
装飾 | 清水与三吉 |
調音 | 生水俊行 |
記録 | 竹内美年子 |
助監督 | 北村義樹 |
制作主任 | 渡辺寿男 |
進行 | 楳村仁一 |
スチール | 佐々木千栄治 |
広報担当 | 高橋修(テレビ東京) |
装飾 | 高津商会 |
衣装 | 松竹衣装 |
結髪 | 八木かつら |
装置 | 新映美術工芸 |
現像 | IMAGICA |
協力 | 京都大覚寺/鈴乃屋/エクラン演技集団 |
主題歌 | 「雨あがり」 作詞:麻こよみ/作曲:猪俣公章/編曲:小杉仁三/歌:坂本冬美(東芝EMI) |
製作協力 | 京都映画株式会社 |
監督 | 高瀬昌弘 |
製作 | テレビ東京・松竹株式会社 |