複雑な構成と徹底的に鬱屈した展開で作劇され、最終的にはカミーユ・ビダンの精神崩壊とシャア・アズナブルの失踪という、まったく救いの無い形で幕が閉じられた『機動戦士Ζガンダム』。エゥーゴとティターンズの抗争は終焉を迎えたが、旧ジオン軍の残党であるアクシズの勢力が残っている。決着を付けねばならない。そこで始まったのが、続編となるこの『機動戦士ガンダムΖΖ』である。
第1話であるこの「プレリュードΖΖ」は、これまでのガンダムシリーズのおさらいといった内容で、永井一郎のナレーションをバックに過去の作品『機動戦士ガンダム』『機動戦士Ζガンダム』からの映像を交えつつ、宇宙世紀の人々の暮らし、コロニーの設定、メカの設定やモビルスーツ発祥の歴史、過去に活躍したモビルスーツやその由来などを紹介するものとなっている。また、カミーユとフォウの悲しい運命も語られている。Bパートでは、今作の主人公ジュドー・アーシタたちの紹介に加え、「最新モビルスーツカタログ」では少しはっちゃけた池田秀一の声も聞くこともできる。また、単なる総集編というわけでもなく、古谷徹、銀河万丈、榊原良子らが、既存の映像に新たに声を吹き込んでいると思われるシーンもある。マシュマーの名前も。
『機動戦士ガンダムΖΖ』の特徴として、ストーリーや世界観の根幹となる華々しいモビルスーツ同士の戦闘や政治的背景の影に隠れがちな「コロニーに住む人々の暮らしや文化」「戦争に人生を振り回される人々」などのサイドストーリー的なエピソードが多く散りばめられていることが挙げられる。『機動戦士ガンダム』の15話「ククルス・ドアンの島」のような展開が多いと言えばお分かりになるだろうか。序盤の舞台であるジュドーたちが生活するサイド1のコロニー「シャングリラ」も長い戦乱の中で荒廃し、およそ「見捨てられた」と言っても過言ではないコロニーだし、シャングリラを後にするアーガマが立ち寄っていく様々なコロニーの中にも、旧型のモビルスーツを神と崇める人々が暮らすコロニーがあるなど、その世界観はモビルスーツ同士の戦闘と、パイロットやクルーたちの成長と苦悩が中心にあった旧シリーズとは一線を画すものとなっている。イメージ的には、アクシズ軍から逃亡を続けるアーガマが、至るところのコロニーへと立ち寄り、そこで暮らす人々と触れ合い、戦争の意味を浮き彫りにし少年たちの内面の成長を描く……といったものと言えるだろう。
後半は『機動戦士Ζガンダム』からの戦いに決着を付けねばならない都合上、従来のガンダム路線へと回帰していく。しかし、前半から中盤にかけて起こるジュドー達のドタバタ劇は、Ζガンダムの「地獄の底を打ったような暗さ」と、毎回カミーユたちを襲う鬱屈した感情からの脱却に見事成功しており、やがてブライトを家長とした「家族劇」のような雰囲気さえも感じさせるようになる。設定が引き継がれる連続した作品において、こうも作風をガラリと変えてしまえる富野由悠季の手腕というものに、改めて脱帽せざるを得ない。
そして、この「プレリュードΖΖ」こそ、「『今までのガンダムを受け入れつつ、今までとは違う明るい素直なガンダム』が始まるんだよ」ということを視聴者に知らせるための、デモンストレーションとも言える内容なのだ。
オープニングアニメ(絵コンテ:滝沢敏文/作画:瀬尾康博、北爪宏幸、内田順久)
秋元康による個性的な作詞に、チェッカーズのプロデューサーとして知られるヒットメーカー・芹澤廣明の曲が乗り完成したオープニングソングは、前作のΖガンダムの暗さを払拭するには十分過ぎるほどのインパクトに仕上がっている。芹澤廣明のアニメソングと言えば『キン肉マン』のオープニングソングが有名だが、これもどことなく「キン肉マンGo Fight!」の曲調に似たアップテンポな雰囲気を感じることができる。
日本大陸から地球、月、宇宙へとカメラが引いていき、類人猿からアムロ、カミーユ、そして今作の主人公ジュドーへと移り変わっていく映像は、まさしく「人類の進化=ニュータイプへの革新」といったものの表れであるものと思われる。また、目を惹くカットの一つにシャア・アズナブルとジュドーの映像があるのだが、これはガンダムΖΖの当初案でシャア・アズナブルの登場が予定されていたためであると言われている。
なお、ΖΖガンダムが登場した次の回の12話より、一部差し替えが行われている。
セリフ
ブライト「航海日誌0301……シロッコを倒し、ジュピトリスを沈めた我々だが、その代償はあまりにも大きかった。エゥーゴの指導者たるべきシャア・アズナブルは遂に帰らなかった。カミーユの具合も気がかりだ。心身とも相当なダメージを受けている。一刻も早く、サイド1に着かねば……」
ジュドー「子供はみんなニュータイプ!見せてやろうじゃないの、大人たちにはさ!」*この単純明快さが、今作の最大の特徴なのかも。
リィナ「お兄ちゃんの、あの向こう見ずなところが直ればいいんだけど。あーあ、苦労が耐えないわ」
声の出演
ジュドー・アーシタ:矢尾一樹/リィナ・アーシタ:岡本麻弥/エル・ビアンノ:原えりこ/ビーチャ・オーレグ:広森信吾*1
ナレーター:永井一郎
シャア・アズナブル:池田秀一/ブライト・ノア:鈴置洋孝/アムロ・レイ:古谷徹/カミーユ・ビダン:飛田展男/ファ・ユィリィ:松岡ミユキ/フォウ・ムラサメ:島津冴子/ギレン・ザビ(アクシズ軍兵士):銀河万丈/ハマーン・カーン:榊原良子/シンタ:坂本千夏/クム:荘真由美
スタッフ
編集 | 映像通信/豊田順司/川村佳子 |
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タイトル | 四丁目ファクトリー |
イラスト撮影 | クリエイティブ |
映像協力 | 旭フロダクション*2 |
編集協力 | ワールド・ビデオ |
イラスト協力 | 田中精美 |
協力 | 布施由美子(井上編集室) |
色彩設定 | 高島清子 |
効果 | 横山正和 |
調整 | 依田章良 |
録音 | ニュージャパンスタジオ/中村哲(テレトッフスタジオ*3) |
現像 | 東京現像所 |
メインタイトル | マキプロダクション/安食光弘 |
制作デスク | 高森宏治 |
設定制作 | 近藤康彦 |
演助進行 | 高松信司 |
制作補佐 | 原田奈奈 |
OPコンテ | 滝沢敏文 |
ENDコンテ | 斧谷稔 |
OP・END作画 | 瀬尾康博/北爪宏幸/内田順久 |
OP・END美術 | 池田繁美 |
制作協力 | ケイ・コマーシャル/長谷敏史/高野亜希美 |
構成協力 | 宮崎まさ夫 |
構成/脚本 | 南田操 |
演出 | 寺澤賢 |