サイド1のコロニー・シャングリラでジャンク屋を営み生計を立てている少年・ジュドー・アーシタ。エゥーゴの戦艦・アーガマがシャングリラに入港する情報を掴んだ彼は、暮らしのため、妹リィナのため、仲間たちと共にΖガンダム強奪を計画する!
エゥーゴのエースパイロットであり、ニュータイプと言われるカミーユ・ビダンとの共鳴に不思議な感情を覚えるジュドー。そして、Ζガンダム強奪作戦の最中、ヤザン・ゲーブルが引き起こした非道な行動に怒りを覚えたジュドーは、「動かない」と言われていたΖガンダムでヤザンを退けてしまう。その姿を見たブライトは……。
ジュドーが脱出ポッドを回収、傷つきボロボロになったアーガマがシャングリラの港口に近づくシーンで幕を開ける今作。いかにΖガンダムの戦いが熾烈であったかを物語る導入部分である。カミーユの目は焦点が定まらず、ファの献身的な介護が必要な状態。他にもアーガマには傷ついたクルーが大勢いるらしく、サイド1の病院での治療が急がれる……という切羽詰った状況である。
Ζガンダムとは違う、ジャズっぽい明るい劇判「シャングリラの少年 C-1」に乗せて脱出ポッドを拾うジュドー。しかし、中にはティターンズの残存兵であるヤザン・ゲーブルが!『機動戦士Ζガンダム』49話にて、カミーユによって撃墜されたハンブラビより辛くも脱出したあのヤザンが、まさかアーガマが入港するサイド1に流れ着くとは……何という運命か。
ジュドーよりアーガマ入港の知らせを聞いたヤザンは、野菜運搬のトラックを強奪!強盗事件を引き起こしてしまうジュドーたち。しかも、港へ潜入するために渡された銃を持ったジュドーは一言「重い……」おそらく初めて銃を持つのであろう。ファを人質にし、アーガマが修理を受けるドックに乗り込むジュドーたち。ここで少しばかりジュドーたちの身の上が語られる。ジュドーたちの親は、戦争のせいで他のコロニーへ出稼ぎしている。仕送りが送られるものの、生活は非常に厳しい。そこで、学校なんかへ行くよりジャンク屋をやって稼いでいるのだという。その境遇に、ファも言葉が出ない。
ヤザンがいよいよ強攻に出る。プチモビに乗り込み撹乱する作戦に。ブライトたちも応戦するが、ビーチャたちの野菜の援護によって思うようにいかない。その隙を突いて乗り込むジュドー。Ζに乗り込んでいくときの音楽「シャングリラの少年 C-2」がとても軽快だ。また、このシーンからのコンテ演出も、富野っぽさが出ていて面白い。しかし、そんな状況は一変。ヤザンはファを助けようとしたサエグサを勢い余って傷つけてしまう。その姿にビーチャたちは戦慄し、ジュドーは脱力感と共に怒りを顕にする。舞台はドックからコロニー内部へと移っていく。ヤザンのプチモビを追うジュドーのΖだが、操縦技術で遥かに上回るヤザンに到底追いつけない。途中、ビューティ・タチバナに似た金髪のお嬢様が眩暈を起こすシーンなど、軽いお遊びも。
ジャンクの山で戦うジュドーとヤザン。モビルワーカーに乗り換えたヤザンは、Ζが落としたビームサーベルを拾って肉薄するも、グレネードランチャーの直撃を喰らい敗れ去るのだった。そして、アクシズ軍の戦艦・ミンドラが、シャングリラへと近づいていた。
コロニー公社の連中がまったくアテにならなかったり、ビーチャ、モンドサイドとジュドー、イーノサイドでは、同じ仲間同士とはいえ考え方が違う面があるなど、人間関係や舞台背景が小出しにされているように見えた。ジュドーは筋を通したい考え方だし、ビーチャは狡賢く強いものに巻かれる感じ。この、少々ギクシャクした関係が、新たなトラブルを引き起こしていくわけで……。ラストカットでエンドラが金塊が詰まったアタッシュケースを港口に放り込むのも、腐敗したコロニー公社のやり方を熟知した上でのことだろう。何せ、シャングリラはコロニー公社の怠慢によって、季節が常春に設定されているのだから。
作画レベルはかなり高い。スピード感もあるし、カットごとのキレもある。原画のメンバーを見ていただければお分かりになると思うが、野田康行や紺野智幸など腕利きアニメーターの名前も。ガンダムΖΖは作画と音楽に関しては非常にレベルが高いのだが、序盤のテンポとストーリー性の面において、少々損をしているような気がしないでもない。今後の展開に期待。
セリフ
ジュドー「大儲けしたら、お前も山の手の学校へ行かせてやるから!」
イーノ「シ……じゃなくて、ファだよ。ファ・ユィリィ」*この時のファの顔が面白い
ブライト「ちゃんと動かんモビルスーツ盗んでどうする!?」
ジュドー「大丈夫大丈夫、これだけ動けば……何しろガンダムらしいから……高く売れるよ!……本物の……Ζガンダム……何となく、分かっちゃうな。へへ、あははは……ようしリィナ、待ってろよ。これで山の手の学校に入れてやる!」
ヤザン「あのチビが動かしているのか?まさかな……Ζは俺が貰うんだぞ!……そんなに死にたいか、小僧!……またもガンダムに敗れた……この俺が……」
声の出演
ジュドー・アーシタ:矢尾一樹/ブライト・ノア:鈴置洋孝/リィナ・アーシタ:岡本麻弥/イーノ・アッパーブ:菊池正美/ビーチャ・オーレグ(アストナージ・メドッソ):広森信吾*1/モンド・アガケ(サエグサ):塩屋浩三
ファ・ユィリィ:松岡ミユキ/トーレス:阿部建太*2/シンタ:坂本千夏/クム:荘真由美/主任:吉村よう/運転手:高宮俊介/工員:巻島直樹
スタッフ
作画監督 | 北爪宏幸 |
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原画 | 栗井重紀/石丸賢一/小田不二夫/小野浩一郎/恩田尚之/加藤洋人/熊谷浩彦/古瀬泰英/紺野智幸/坂田文彦/佐藤厚志/重田亜津史*3/高橋朝雄/野田康行/松本忍 |
動画チェック | 江山梨恵 |
動画 | 赤坂理恵子/木下みさ子/小沢章子/川田栄三/鈴木啓泰/スタジオ・マーク/ぱっく/邪魔猫クラブ |
色彩設定 | 高島清子 |
色指定 | 峰崎裕子 |
特殊効果 | 千場豊 |
仕上処理 | 前林文恵 |
仕上げ | ジャスト/小野原浩美/濱田みどり/サンライズスタジオ |
背景 | アトリエ・ムサ/丸山由紀子/大久保修一/若松栄司 |
撮影 | 旭プロダクション/古林一太/奥井敦/平山明夫 |
編集 | 布施由美子(井上編集室) |
効果 | 横山正和 |
調整 | 依田章良 |
録音 | ニュージャパンスタジオ |
現像 | 東京現像所 |
タイトル | マキ・プロ/岸村弘明 |
制作デスク | 高森宏治 |
設定制作 | 近藤康彦 |
制作進行 | 池部茂 |
演助進行 | 高松信司 |
制作補佐 | 原田奈奈 |
OPコンテ | 滝沢敏文 |
ENDコンテ | 斧谷稔*4 |
OP・END作画 | 瀬尾康博/北爪宏幸/内田順久 |
OP・END美術 | 池田繁美 |
脚本 | 鈴木裕美子 |
ストーリーボード | 滝沢敏文/斧谷稔*5 |
演出 | 杉島邦久 |