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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

伊吹吾郎が『必殺仕事人』に出演した時のエピソードメモ

今から5年くらい前に、時代劇専門チャンネルで放送していたオリジナル番組『時代劇ニュース オニワバン!』(#172 #176)内の「時代劇サロン」にゲスト出演した伊吹吾郎が、『必殺仕事人』に出演した時のエピソードを語っていたのを書き起こしたメモが残っていたので、ブログとして残しておきたいと思う。

放送回

  • 『時代劇ニュース オニワバン!』(#172 #176)「時代劇サロン」(時代劇に所縁のあるゲストを招いてのトークコーナー)
  • ゲスト:伊吹吾郎(『必殺仕事人』再放送記念)

エピソード

オファーが来たときの印象

人気シリーズだということは知っていた。視聴率も良い。
自分がどういう殺し方をするのか分からない(イメージできない)という不安があった。
作品自体には興味があった。

殺し方はいつ頃決まった?

衣装合わせのとき。妻子持ちの浪人で、同田貫一本。
刀での殺しはシンプル。正直残念だった。刀以外の殺し方を期待していた。
主水が同じ刀の殺しなので、バランスを取ってやっていた。

シリーズ作品に途中から加入

シリーズ途中からのレギュラーは初めて。
デビュー作以来京都が多かった。時代劇にどっぷり浸かっていた。
必殺シリーズに出ることができる喜びを感じていた。

必殺シリーズについて

当時は毎週どこかで時代劇を放送していたが、必殺シリーズはダントツの人気作。
スタッフは個性の強い集団で、一癖も二癖もあった。

共演者について

・藤田まこと
東映のときに面識があったが、挨拶する程度だった。
初回の撮影のときには「必殺、一緒にやろうぜ!」と声をかけてくださった。

・三田村邦彦
彼は京都に来て初めての時代劇だった。
よく一緒に話をしていたし、よく食事やお酒も一緒に行った。

殺し方の変更(腰骨はずし)について

ある日、プロデューサー(山内久司?)が「同田貫を捨ててこっち(腰骨外し)で行こうか」と言い出した。
僕は次のシリーズの話だと思っていたら、来週放送回からだと聞いて驚いた。
決め方も「良いの?→良いよ、行こうよ」といった感じ。
普段の撮影も、「それで行こう」「さっきので行こう」と現場での思い付きが多かった。

台本について

いつもギリギリで仕上がってくる。それは、今の世情で起きていることを題材にするから。
だから、録って出しが多かった。
文芸作品や原作モノではない、「必殺」というパターン化が確立している。
そのパターンを崩さなければ、どういう形でやるかは自由。それが良かった。

「腰骨はずし」の撮影

腰骨はずしは2人でやる。上半身役の人と下半身役の人が行うが、お互いが見えない。
だから、事切れるときのタイミングが合わず難しかった。

武士のキャラを続けたかったか?

そういう気持ちはなかった。侍の役が多かったから、逆に良かった。
録り始めてからは楽しかった。

撮影の雰囲気

シーンによって違う。頼み金の分配のシーンは緊張感がある。
スタッフにも、心遣いがある。
作る側と役を演じる側の一体感が、現場にも出ていた。

表の稼業がおでんの屋台になったのは?

人が集まる場所を作りたかったそう。人が集まれば、事件や物語のきっかけになる。
夏におでんは季節外れなので、夏の撮影時には冷奴などで季節感を出していた。

個人的に印象に残っているシーン

左門が主役だった、葉山良二さんがゲストの回(14話「情は人のためにならないか?」)。
相手(葉山演じる笠井勝之助)は、左門が仕事人だと薄々気付いている。
対決のときの「お前には守るものがない。俺にはある」というセリフが気に入っている。
カットバックも良かった。

撮影の美しさ

カメラと照明の技術が素晴らしい。夜のシーンの陰影を作ってくれる。
印象に残るカットが多い。オンエアを見てかっこいいと思うことが多かった。

『必殺仕事人』の見どころ

どうやって悪人を仕留めるか、が見どころ。あと、主水の家庭と仕事人のギャップ。