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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

「現金給付」について思うこと

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国民みんなが待ちに待った「現金給付」について、今日ようやく動きがあった。ところが、この記事を読むだけで、いろいろと疑問と不安が頭を過ぎってくる。

まず、この「新型コロナウイルスの感染拡大で収入が落ち込んだ世帯向けに実施する現金給付」という部分が気になっている。これは文字どおり新型コロナウイルスの感染拡大を原因としていないと現金給付が受けられないってことなのかな?

例えば、僕の母親は年金を受給しながらホテルのパートで働いているのだが、新型コロナウイルスの世界的な蔓延を受けて、外国人観光客の予約が相次いでキャンセルとなったため、月の勤務時間を減らされてしまい急激に収入が落ち込んでしまった。この場合、新型コロナウイルスとの因果関係がはっきりしているので、現金給付を受け取れる可能性はある。しかし、「収入減を示す資料を提出」となると、どういうものを用意すべきなのか。

「通常どおりのシフトで勤務していた月と、外国人観光客が宿泊をキャンセルした後の月とで比較できるもの(シフト表、給与明細、等)」は容易に想像がつくが、これだけではなく例えば「外国人観光客が宿泊をキャンセルした証明ができるものも出せ」なんてことになったら、一気に手続きが煩雑になる。

もうひとつ気になるのは「年金受給者」であること。年金受給は2か月に一度の定期的に入る収入ではあるが、このように定期的な収入がある市民は、果たして今回の現金給付を受けることができるかということだ。僕の母親は国民年金に加入していた時期が長いので、正直年金だけでは生活がままならない。だから、ホテルのパートで働き何とか生きていける収入を確保していたわけなのだが。

他にも、僕のように派遣社員で雇い止めになった(次の派遣先を紹介してもらえず無収入になった)人はどうなるのか。対象なのだろうか。こういう場合、新型コロナウイルスとの因果関係は立証しづらいが、収入が途絶えてしまい緊急を要する支援が必要であることに違いはないはず。この時期に雇い止めや退職を余儀なくされて、次の仕事が決まらない人は、収入が途絶えた証拠として「離職証明書」だったり「離職票」だったりを提出するくらいで申告が済むような条件であれば助かるのだけど。仮に仕事が決まったとしても、次の給料が入るまでに一か月くらいかかるわけだし。

そして、現金支給の申告方法である。

申請は市区町村で受け付ける方針。給付を受ける人が窓口に行き、収入減を示す資料を提出する必要がある。

減収世帯へ現金給付、20万円 対象1千万件、補正予算成立後 | 共同通信

できるだけ外出を控えなければならないこの現状で、まさかの「市町村窓口で直接申告する」である。これ、申告受付が開始したら、ものすごい人が役所の指定窓口に殺到すると思うんだけど、新型コロナウイルスの感染拡大につながらないのだろうか。申告に来る人の中には高齢者や障がい者もいるはずだし、自宅に帰れば子どもがいるような世代の人だってもちろん来るだろう。どうするつもりなのか。完全予約制にするつもりなのか(無理でしょ)。

窓口での申告にするというのも、まあ分からなくもない。例えば、昨年実施された「プレミアム付商品券」。対象は子育て世帯と住民税非課税世帯で、住民税非課税世帯にはまず「プレミアム付商品券を購入するかどうかの意思確認」のため、各自治体が商品券購入申請書と返信用封筒を同封して対象者へ郵送していたのだが、この意思確認のための申請ができない(申請書を記入して返送ができない)人が結構な割合でいたらしいのだ。

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この記事では「手続きが面倒」という表現がされているが、正直なところ高齢者や障がい者といった方々は申請の手続き方法が分からず申請書そのものを放置していたり、そもそも「郵便物を見ていない」という人がいたりで、プレミアム付商品券が行き渡らなかった現実がある。だから、実際に顔と顔とを突き合わせる窓口申告が一番有効ではあるのだが、だからと言って新型コロナウイルスが蔓延しているときに、何もこんなやり方をしなくても…と思うわけです。

WEBで申請できる人はWEBで申請したらいいんじゃないか、って思ったけど、こういう記事を読んでしまうとそれも無理っぽい。

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そして、これも個人的な懸念なんだけど、窓口が市町村でしょ?そうなると、対応するのが市町村の職員になるわけでさ。こういう言い方は大変失礼なのだけど、市町村レベルの職員ってみんながみんな優秀じゃないんですよ。機転が利くとか、臨機応変に対応できるとか、そういう人たちばかりじゃないんです。職員の能力の差がめちゃくちゃ激しいんです。政令指定都市の職員であってもね。つまり、この申告の窓口や現金給付に「おかしな職員」や「頭が悪い職員」が担当になってしまうと、ただでさえ高い申告のハードルが更に上がるわけです。国からのガイドラインを咀嚼できない人、理解できない人、機転を利かせて抜け道みたいなものを提示してくれる人、そういう人なら良いのだけど、そういう人じゃない可能性もあるわけで、もっと言うとそういう人じゃない可能性のほうが高いと思います。

頭が悪い僕でさえこれだけの疑問や懸念が生まれる現金給付なんだから、いっそのこと「減収世帯」って限定せずに「全世帯」で良いと思うんですよ。そのほうが事務効率も良いし、きちんと国民に行き渡る。消費にもつながる。いちいち「所得の下げ幅」や「所得の上限」みたいなものと照らし合わせながら申告の受付をしていたら、この現金給付に最も必要な即効性に欠けると思うんですけどね。

新型コロナウイルスは誰もが感染の危険性があるのに、その支援策で対象を区別するのもどうかと思うんです。この国に住む国民すべての危機であり問題なのだから。