今は世の中が新型コロナウイルスでナーバスになっているけれども、それ以前からこういう企業はたくさんあったし山ほどあったし、日本社会の標準的な価値観だった。
僕はそういう環境や価値観が大嫌いなので、少しでも体調が悪かったら当日だろうが何だろうが絶対に休んでいた。ただ、非正規雇用のくせにそういうことをするからだんだん職場で嫌われていって、やがて居場所がなくなって退職(=クビ)になることが多かったけども。
2年前に働いていた電気工事会社で、40代の上司が「今日39度の熱が出て頭いてえわ」って言いながら出勤してきたとき、「この人は何を考えてんだ?馬鹿じゃねえの?」って心の底から軽蔑したが、これがいわゆる「日本のサラリーマンのスタンダード」なのだろう。風邪や発熱くらいじゃ仕事を休めない。仕事を休むのは悪。どんな理由があっても必ず会社に出勤する。彼らにとってはそれが当たり前だ。しかしこれが、今の新型コロナウイルスで大騒ぎをしているときなら、一体どうなっているだろうか。それでも彼は出勤するだろうけど。
過去にもこういう状況にはいくつか遭遇したことがあって、以前働いていた職場でも、女性の先輩が「インフルエンザって言われたけど、休むのが悔しいから出社してきた」とか平然と言い、それを周りの取り巻き女性社員たちが「姐さん、さすが!」みたいにもてはやしていたのを見て、本当に信じられなかった。インフルエンザウイルスをまき散らしているのに、それを称えるなんてあたおかでしょ、と。どんなに美人で頭が良くて評価が高くても、人間として本当にあり得ない。だから、僕はその日からその女性の先輩に対して軽蔑の眼差しを送るようになった。
確かに、配置人員がギリギリで、一人休むと仕事が回らない&周りに迷惑がかかる、という状況もあるのだが、明らかに症状が出ているときは休む勇気を持たなきゃいけないし、休んでも良いように職場の配置を決めておくのが企業であり上司の役目でもあるだろう。身体が壊れるまで働いたとしても、企業は助けてくれない。「今までお疲れ様でした」という無慈悲無感情の労いの言葉とわずかな退職金が与えられて放り出される。非正規雇用なら、すぐに契約を打ち切られて放り出される。「体調が悪くても出社して、こんなに頑張ったのに!」という努力も根性も、身体が壊れてしまったら元も子もないし、企業はそんなことには知らん顔だ。自分の身は自分で守るしかない。
「代わりはいくらでもいる」という言葉はマイナスなイメージで使われる言葉だけど、実際に代わりはいくらでもいるんですよ。あなたしかできない仕事なんてものは、よほどハイレベルな仕事をしていない限りあり得ない。自分ではそう思っていても、実は他の人でもできる仕事だったりする。企業の従業員なんかはそうでしょう?何のために毎年新卒で社員を採用しているんですか?あなたが一時的にいなくなったとしても、業務は回るしそれほど支障はきたしません。あなたは主人公でも何でもない、ただの一般人なのだから。
とにかく体調が悪かったら休んでほしい。熱が出ても出社してきてるような人は、周りに多大な迷惑をかけていることに気付いてほしい。遅刻欠勤が多かったり、少し能力が劣る人によく言っていますよね?「周りに迷惑をかけないで」って。それは、体調が悪くて熱が出ていても出勤してくるあなたにも言えることですよ?
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