ご同業・海坊主からの依頼。傭兵時代の上官で、今は亡き氷室剛司の娘である真希に「ファルコン」の偽名で多額の援助を施してきた海坊主だったが、真希がバイオリニストの才能を開花させマスコミが注目をし始めてから、真希による「足ながおじさん」の捜索が始まった。海坊主は自らが置かれている境遇を考え、真希には会わないことを告げるも、泣かれてしまい一度だけ会うことを約束。冴羽に「ファルコン」となってもらい、真希と会って欲しいというのが依頼内容だ。
美人女子大生でもある真希に「もっこり」しようとする冴羽だが、彼女を守ろうと海坊主のトラップが容赦なく冴羽を襲う。しかし、実は真希自身が命を狙われていた。氷室剛司と海坊主によって裏切りの制裁を受けた外道・スネークが生きていたのだ。スネークは冴羽の一瞬の隙を突いて真希を銃撃する。絶対絶命の真希の前に立ちふさがった海坊主は、スネークの銃弾をまともに受けてしまい…。
シティーハンター初の前後編。今後はこういった形で「前後編」が多くなっていく。また、『シティーハンター2』になると、脚本家による脚色に加え、前話や今話のように演出家による構成も多くなっていく。『シティーハンター』では港野洋介(青木悠三)とこだま兼嗣の二人だけが構成を担当。『シティーハンター2』では第1話を皮切りに港野洋介(青木悠三)とこだま兼嗣が原作エピソードの構成を担当し、その後は加瀬充子、江上潔なども構成を担当する。
さて本編。海坊主が久々の登場。そう言えば香とは初対面であり、そのあたりの経緯も上手くストーリーに加えている。依頼内容は、「今をときめく美人バイオリニスト・氷室真希とデートをしろ」という美味しいもの。ウィーン音楽祭で最優秀バイオリニストの栄冠に輝くほどの女性だが、彼女は孤児でもあった。彼女の父親は、海坊主が属した傭兵部隊のチーフ・氷室剛司。今は亡き彼への恩義で「足ながおじさん」として真希を経済的に援助していた海坊主だが、会いたいとせがまれ冴羽にその役目を押し付ける。冴羽としては、美人女子大生とデートできるもっこりチャンス。事あるごとにもっこりしようと企む冴羽だが、その度にお目付け役の海坊主が登場。街中で発砲するなど過激なやり方は香以上とも言えるか。また、自分は変装に自信を持っているようだが、明らかにバレバレでコミカル。
あることがきっかけで自身が狙われていることを告白する真希。狙っているのは海坊主と同じ傭兵部隊の隊員だったスネーク。部隊の作戦を敵方に漏らしたことで、氷室と海坊主を除き部隊が壊滅したことから氷室と海坊主はスネークを制裁したが、スネークは生き延びていたのだ。海坊主の目の前で真希を殺すことで復讐を成し遂げようとする外道である。真希が初めて海坊主と出会った公園で、スネークが発砲した銃弾が真希を襲う!身を挺して真希を庇ったのは、冴羽ではなく海坊主であった。
ゲストヒロイン役には、『新ルパン三世』の最終回「さらば愛しきルパンよ」の小山田マキ(小山田真希)や、『ルパン三世 カリオストロの城』のクラリス、『風の谷のナウシカ』のナウシカなど、宮崎駿作品の常連である島本須美をゲストに迎えた。神谷明とは『めぞん一刻』の音無響子と三鷹瞬として共演している。
スタッフ面では、今回からメカニカルデザインに明貴美加が参加。この後『シティーハンター2』まで参加し、港野洋介(青木悠三)と共にメカ、銃器、ミニ・クーパーなどの設定画に着手していく。また、設定担当が山本之文から秋山浩之に変更されている。
原作
「海坊主からの依頼」「スネーク現る!」「ラスト・コンサート」
セリフ
海坊主「真希の父親は俺の上官だった。俺が傭兵だった頃のな。そして俺の命の恩人だ。金はその恩返しだ。彼女は父親が傭兵だったことは知らん。だから名乗らなかった。会わなかった。だが、彼女は俺に会いたがった。新聞やテレビでこうして呼び掛ける。世間も騒ぐ。だから俺は初めて彼女に電話した。俺を捜すな、迷惑だ、と……」
冴羽「……泣かれたな。どうしても、一度だけ会いたい、と。お前は女の涙に弱すぎるからな」
真希「あの日……父に連れられてここに来たあの日。空を覆うような広い背中を見たとき、私入道雲かと思ったわ。それを見て怖くて泣き出しちゃって……でも、私をあやすあの困ったような目は、今でも忘れられないわ。小さかったのね、私。あの広い背中が、今はほら……」
次回予告
冴羽「やい海坊主。俺を殺す気か!?」
海坊主「全て貴様が悪い!」
冴羽「何?」
香「ケンカしてる場合か。遂にスネークが動き出したんだよ?」
冴羽「どうせお前は、ヤツの手口もお見通しなんだろ?」
海坊主「当たり前だ」
冴羽「せいぜい威張ってなって。弱点突かれて泣いたって俺は知らね」
香「この人弱点なんてあんの?」
海坊主「無い!」
冴羽「ほほぉ?にゃ〜お」
海坊主「ぎくぅ」
香「シティーハンター『獠と海坊主の 純情足ながおじさん伝説(後編)』絶対見てね!」
*今回は海坊主が乱入のためか、香が次回予告サブタイトルを担当。
スタッフ
構成 | こだま兼嗣 |
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絵コンテ | こだま兼嗣 |
演出 | 今西隆志 |
作画監督 | 北原健雄 |
原画 | 西村誠芳/斉藤良子/木口寿恵子/中野美佐緒*2 |
動画 | 島田悌三/春日久美子/スタジオ・ダブ/スタジオ ムサシ/スタジオ 天/スタジオ MAY |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 松本真司 |
仕上 | スタジオ・ディーン/豊永真一/津茂谷知里/山本由美子/有田尚義 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
背景 | 獏プロダクション/本田修/本田利恵/中原英統/平川栄治/西村康浩/服部一広 |
撮影 | 旭プロダクション/長谷川洋一/末弘孝史/福田寛/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | 松田昭彦(フィズサウンド) |
整音 | 大城久典 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
録音スタジオ | A・P・Uスタジオ |
現像 | 東京現像所 |
メカニカルデザイン | 明貴美加 |
設定 | 秋山浩之 |
制作助手 | 渡辺葉子/佐藤あさみ |
制作進行 | 星野匡章 |
文芸 | 外池省二 |
製作担当 | 望月真人 |
本ページの情報は2020年2月時点のものです。
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