次期総理との呼び声も高い大物代議士・天知の運転手だった萩尾が依頼人。天知の第一秘書・松井から、酔っ払い運転により引き起こした人身事故の責任を取るかたちでの偽装自殺を強要された萩尾だったが、実際に人身事故を起こしたのは天知本人だった。天知から慰謝料代わりに金を強請り取り、一人娘・道子との幸せな生活を夢見る萩尾の純粋な依頼に「心がふるえた」冴羽は、本来引き受けることがない“男からの依頼”を引き受けることに。
萩尾からの思いもかけない脅迫に慄いた松井は“殺し屋”に萩尾の口封じを依頼する。依頼された殺し屋を装った冴羽は、香の協力もあり、松井の目の前で見事偽装殺人を成し遂げたのだった。萩尾と道子は幸せな家庭を築くため、東京を離れていく。
シティーハンター初、男からの依頼。もちろん冴羽は全く乗り気ではなかったが、萩尾の純粋さと道子の健気さに「心がふるえ」依頼を受けることに。
萩尾は偽装自殺を強要されたことにより死んだ人間とされ、一人娘の道子に会えない怯えた生活が続いていたが、今回は「本当に死ぬ」ことで自由を得ることを決意。松井の「殺しの現場に立会い萩尾の死を確認したい」というイレギュラーな展開に、防弾チョッキを着用せず、冴羽が放つマグナムの銃弾を腹に受ける覚悟を見せる萩尾。運転席の真下にあるはずの脱出用マンホールの位置がずれている想定外のトラブルも、香の協力と道子との暮らしを夢に乗り越える。この時の香の功績が大きい。
松井が最初に依頼をした殺し屋は何と海坊主。しかし冴羽の策謀で海坊主は、リカちゃん人形を持ち、涎掛けをした赤ちゃんのコスプレをして笑われるハメに。これには海坊主も「こ、殺してやる!誰だ俺をハメやがった奴は!」とブチギレ。しかし、律儀にこの衣装を了承する海坊主も海坊主だが。ちなみに、海坊主がサングラスを外している描写は今回だけ。冴羽との銃撃戦で弱視となり、日中サングラス無しでは出歩けないという設定があるのだが、これは『シティーハンター'91』「復讐の美女!獠に哀しみのブルースを」で詳しく語られる。
「俺は、ダイヤルの戻る音で番号を解読できるんだ」と少々時代遅れな特技を披露する冴羽。でもプッシュホンの公衆電話に「がびーん」。その一連のシーンでの窓ふき兄ちゃん(山寺宏一)との掛け合いと、その後に神谷明が披露する西尾徳のモノマネが面白い。なお、神谷明と西尾徳は『ゲッターロボ』の流竜馬役と巴武蔵役で共演している。
今回から音楽担当に矢野立美が参加。今後は矢野作曲の劇判がメインとなり、矢野が作曲した挿入歌「FOOTSTEP(歌・北代桃子)」が銃撃戦のシーンで毎回のようにかかるようになる。また、次回予告でかかっている「MR.PRIVATE EYE(歌・大滝裕子)」が歌詞付きで二度挿入。ラストシーンの感動にも花を添える。『シティーハンター』と言えば「GET WILD」のイメージだが、「MR.PRIVATE EYE」も同じくシティーハンターのイメージソング。『シティーハンター'91』でも、インストゥルメンタルがフルで流れるシーンがあり、この作品における音楽面での一貫したテーマとして作られた曲だと思われる。歌詞の「MR.PRIVATE EYE」は「探偵さん(冴羽)」と和訳されており、冴羽をイメージしているように聞こえるのも注目。
原作
「待ちつづける少女」
セリフ
萩尾「私には撃たれたとき死んだ真似なんてできる自信はない。できるくらいなら、こんな貧乏くじは引いていませんよ。……あなたに賭けてみます。娘と一緒に暮らせるようになるんだったら、何だって、どんなことだって!」
香「えへへ……おじさん?プロってタダ働きもするんだ?」
次回予告
香「うわあ……すっげえ美人……」
冴羽「野上冴子ついにご登場か。だがな、”助けてちょうだいね”なんて甘い声出したって、もう俺は騙されないもんね」
香「ってことは、初めての依頼じゃないんだ。でもさ、展示中の宝冠に隠された重要なマイクロチップを盗み出して欲しい、なんてどうしてそんなヤバイこと頼んでくんの?」
冴羽「ああ見えてもな、彼女警視庁の刑事さんなんだぜ」
香「うそぉ〜」
冴羽「次回『美人に百発百中(ワンホールショット)?! 女刑事には手を出すな』」
冴羽&香「お楽しみに!」
*神谷明の麻上洋子のモノマネ付き。
キャスト
冴羽獠:神谷明/槇村香:伊倉一恵
萩尾:清川元夢/道子:江森浩子/松井:西尾徳/海坊主:玄田哲章/窓ふき:山寺宏一
スタッフ
脚本 | 星山博之 |
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絵コンテ | 網野哲郎*1 |
演出 | 網野哲郎*2 |
作画監督 | いのまたむつみ |
原画 | 西沢晋*3/高橋久美子/古泉浩司/西村誠芳 |
動画 | 島田悌三/四本忠司/マジック・バス/スタジオ夢民/スタジオ天 |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 岩沢れい子 |
仕上 | スタジオ九魔/米村貞子/奥野孝一/公平保之/横田政一 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
背景 | 獏プロダクション/本田修/本田利恵/中原英統/平田秀一/平川栄治/西村康浩/甕智恵子/服部一広 |
撮影 | 旭プロダクション/長谷川洋一/末弘孝史/福田寛/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | 松田昭彦(フィズサウンド) |
整音 | 大城久典 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
録音スタジオ | A・P・Uスタジオ |
現像 | 東京現像所 |
設定 | 山本之文 |
制作助手 | 渡辺葉子/佐藤あさみ |
制作進行 | 秋山浩之 |
文芸 | 外池省二 |
製作担当 | 望月真人 |
本ページの情報は2020年2月時点のものです。
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