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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

発達障害の新入社員や部下は問題になるのに、発達障害の上司や先輩が問題にならないのは不思議

たまにネットの読み物で出てくる、

  • 発達障害の部下を持ったが、どう指導していいか分からない
  • 新入社員が発達障害でした
  • 発達障害の部下がこんなことをやらかしました

みたいな記事。「発達障害 部下」で少し検索しただけでも、

toyokeizai.net
diamond.jp

こんな感じで、経済紙の記事がヒットしてきます。

ここで紹介されている事例が、事実なのか創作なのかは分からないですが、とにかく「発達障害の新人」や「発達障害の部下」というのは、すぐに「ネタ」にされやすい傾向にあるようです。…って、そりゃ当たり前か。色々やらかすから、それだけエピソードも増えていくわけなのだから。

こういう記事を読むたびに、僕は常々考えていたことがあります。「発達障害の部下がいるなら、発達障害の先輩や上司だっているはずなのに、なぜ彼らのことは問題にならないのだろう?ちょっとおかしくない?」ということです。

一応、「発達障害 上司」で検索したら、こういう記事はヒットしてきました。

toyokeizai.net

ですが、「発達障害 部下」「発達障害 新人」に比べたら大人しい検索結果でした。

「発達障害では昇級昇進はしないし、部下を持つなんてことはないのではないか」とお思いになる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。発達障害を抱えていたとしても、役職が付いたり、管理職になって部下を持つ場合はあります。

youtu.be

YouTubeで「知識ひけらかし系YouTuber」として活躍されている失敗小僧氏の動画です。動画の概要欄には

50代には発達障害の診断漏れが多いということになると、企業や官公庁の50代管理職に発達障害がいないかどうかの確認作業が急務になると考えます。なぜならば、上司との人間関係が上手くいかないということは、上司本人のみならず、その部下となった若手社員についても大きな負担となりえるわけですから、これに対する対処を誤ることは、良好な職場環境の形成に支障をきたすからです。

とあります。

失敗小僧氏は、2020年11月10日に放送された『クローズアップ現代』の「なぜ今も多くの人が?気づかれない大人の障害」を視聴した上で、先述の動画を作成し解説しています。

www.nhk.or.jp

動画の概要欄とリンクする部分として、『クローズアップ現代』の番組内でも

こうした障害への支援が加速したのは、2004年の「発達障害者支援法」の成立でした。その後、障害の状態などに応じて必要な支援を行う「特別支援教育」も、本格的に実施されるようになりました。一方で、支援法が成立する以前に学校を卒業していた中高年の人たちは、障害に気づかれる機会が少なかったと考えられています。

そうです、隠れた中高年の人がいらっしゃると思います。いろいろな、公的なサポートを受けてないということを意味しているのかなと思いますね。

このように解説されています。

つまりは、「中高年(主に40~50代以上の世代)の中には、障害に気付かれる機会がないまま、公的なサポートを受けていない『隠れ発達障害』がいる可能性が高い」というわけです。そして、会社組織の中で中間管理職や、更にその上の管理職、幹部社員の役職に就いている人の中にも、発達障害者がいる可能性があるということなのです。

失敗小僧氏は「元一部上場企業→元公務員→現在無職」という経歴ですが、一部上場企業の管理職や公務員の管理職に、誰がどう見てもすぐに分かる発達障害・知的障害の方がいて、そういう方数名を直接見ている、と動画の中で明言しています。

一部上場企業や公務員は、

  • 正社員としての立場が強く守られていてクビにならない
  • 年功序列なので、年次を重ねれば役職に就ける

という世界なので、辞めない限り年功序列で偉くなり、課長補佐級まで昇進が可能になると失敗小僧氏は解説しています。そして、そういった発達障害・知的障害の管理職の方が部下に対してものすごいパワハラをするということも述べられています(直接見ているそうです)。

上司や先輩がこうした発達障害特性を持っていて、パワハラ等を繰り返すとなると、その部署の部下や新人はたまったものではありません。先日もこういう記事を読みました。

news.careerconnection.jp

「この上司は仕事の理解がまったくないだけでなく、他人に責任を押し付ける傾向がありました。過去、自分と同じポジションで入社した社員も短期間で辞めています」

完全なパワハラ型とまではいきませんが、他人に責任を押し付けるという時点で間接的なパワハラを行うタイプだと察しがつきます。この記事で体験談を語っている方は派遣社員ですので、契約期間が満了すれば退職すれば良いのですが、正社員で「簡単に辞められない」立場だったらたまったもんじゃありません。

発達障害を抱えている上司でパワハラ型だったら、部下のメンタルは悲鳴をあげてしまい、最終的には潰れてしまうかもしれません。そして、組織としても管理職である以上、強く注意もできず最悪野放しにしている…という可能性も十分に考えられます。例え、上層部がその管理職を問題社員だと認知をしていたとしても、「毎日きちんと出勤している」「業務自体は問題なくこなしている」のであれば、クビにも左遷にもできず、現状維持をせざるを得なくなります。その影で、部下は次々に潰れていくと思いますが、組織としては管理職を守るかたちとなり、部下には「お前のメンタルが弱い」「自己責任だ」と冷たい言葉と態度を突きつける他ならないというのが現実ではないかと考えられます。

上司や先輩が「隠れ発達障害」だったとしても、会社も家族も「あなた発達障害の可能性があるから検査してきてください」なんて到底言えないでしょうし、上司や先輩だって「今までそんなこと言われたことがない!何かの間違いだ!」と、絶対に認めないと思います。そして、そういう人物は大抵社内で「厄介者」と思われているので、総務や人事も「関わらないようにしよう」と見て見ぬふりをすることでしょう。

でも、部下は部下で同じ社内で働く人材に他ならないので、企業側としては、もし管理職が発達障害や知的障害で部下のメンタルを壊し続ける「クラッシャー上司」だと分かったら、さりげなく部下のメンタルヘルスケアに気を配る必要があると思われます。総務や人事がよく声かけをする、場合によっては産業医とメンタルヘルスケアについての相談を行う場を設ける、等が一般的ではないかと。

今後、企業は「発達障害の部下」「発達障害の新人」だけではなく「発達障害の管理職」(隠れ発達障害)にも気を配る必要があると言えるでしょう。マネジメント側に発達障害者・知的障害者がいる、という可能性と、適切な対策を講じるための備えについて十分に考えておくべきだと思います。

注:この記事は、発達障害者や知的障害者を差別、毀損する意図で書いたものではないことを、ここに明示しておきます。