世間はまさにクリスマス一色。そんな中、山岡海運社長・山岡信三から一人娘・椿を連れ戻して欲しいとの依頼。椿は山岡海運の商売敵である海野海運の跡取り・和彦によってたぶらかされているそうだが、冴羽の調べでは和彦の態度は誠実なもので、二人は純粋に愛し合っていた。更に二人は何者かに命を狙われている様子。
山岡海運と海野海運の仲違いの原因は……。そして、二人が命を狙われる原因は一体……。
商売敵同士の息子と娘が愛し合い、親から認められぬままに愛を育み合う。『ロミオとジュリエット』というよりは、『水戸黄門』などの勧善懲悪時代劇によくあるストーリー。こういうお話の場合、大抵第三者が漁夫の利を得ようと画策しているものなのだが……。
ダンディな山岡海運の社長。香を見てはすぐに口説き始めるプレイボーイ。一人娘の椿には男手一つということもあり、海外で英才教育を受けさせたのだが、その椿と愛し合った男というのが、何と商売敵である海野海運の跡取り・和彦だった。山岡海運と海野海運には25年前から続く裏切りによる怨恨が続いており、椿からその原因を聞きだそうとした冴羽だったが、あと一歩のところで逃げられてしまう。
和彦と椿は命を狙われていた。しかし二人には身に覚えがない。和彦が母・雪の誕生パーティーに出席した際、椿が白馬で和彦を迎えに来るのだが、この時も二人は怪しい男たちにマークされていた。
年末も近いというのに通帳には17,300円しかなく「年が越せない」と嘆いたり、300万円のウェディングドレスに憧れたり、また一方で「愛し合う二人を引き裂く仕事」に嫌悪感を顕にしたりと、香の行動がかしましい今回のお話。前金300万円の半分である150万をすぐに使い込んだり(借金返済もあるだろうが、その割には買い物が多い……やはり女性だな、と)と金遣いの荒さも露呈するが、この前半の「ウェディングドレスに憧れる香」が後編への伏線となっていく。
脚本には常連ライター・平野靖士に加えて大ベテラン・久保田圭司を迎えた。久保田と言えば、1960年代から70年代にかけて製作された日活映画の脚本を経て、アニメでは『科学忍者隊ガッチャマン』『逆転イッパツマン』などタツノコプロの作品に参加する傍ら、ロボットアニメ『ビデオ戦士レザリオン』の脚本にも参加した人物である。もちろん実写畑でも活躍を続けており、2000年に入ってからはVシネマの脚本もいくつか手がけている。
セリフ
山岡「ビリヤードは恋人の心を掴むのと同じ。相手のハートを狙って一気に恋の矢を放つ!」
冴羽「もう忘れるんだね。二人の間に愛が存在していたなんて。君はきっと悪い夢でも見たんだよ」
椿「そんなことない!私たちは真剣に愛し合っているわ!あなたなんかに分からないでしょうけど!」
冴羽「分からないね。君が悪魔の城に乗り込んででも、愛する人を助けるというんなら分かるがね。今の君は、もうどうでもいいという雰囲気だ。彼に騙されていたんじゃないか、と疑心暗鬼にかかっている。そんなのは愛じゃない。ただの妄想さ。だから、君を捨てるような薄情男のことは忘れて……父親公認のリョウちゃんとモッコリしようよ」*冴羽、椿に向けてわざとキツイ言葉を浴びせてその気持ちを再確認させる。いつもの手段。
次回予告
香「椿さんの勇気には本当脱帽ね」
冴羽「でもまだ安心はできんぜ?ずーっと付けねらってる奴らもいるし」
香「早く家同士の仲違いの原因を突き止めて、めでたくゴールインさせてあげたいね」
冴羽「そんときゃついでに香もウェディングドレス着てみっか?」
香「本当に!?」
冴羽「なんちて」
香「うぅ…さてはまた私を囮にするつもりだな?」」
冴羽「シティーハンター3『クリスマスにウェディングドレスを…(後編)』」
香「見ないとゴールインできないよ?」
キャスト
冴羽獠:神谷明/槇村香:伊倉一恵
椿:高田由美/和彦:難波圭一/山岡:鈴木泰明/雪:巴菁子/執事:田口昴/ファンC:中博史/男A:中田和宏*1/女A:麻見順子*2/女B:斉藤千恵子/女の子:林玉緒
スタッフ
脚本 | 平野靖士/久保田圭司 |
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絵コンテ | こだま兼嗣 |
演出 | 藤本義孝*3 |
作画監督 | 本橋秀之 |
原画 | 伊東誠/星野絵美 |
動画 | 赤坂理恵子/島田悌三/置鮎美穂/河野利幸/アニメアール/スタジオ天/スタジオたくらんけ |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 大橋奈緒美 |
仕上 | エムアイ/ビーム/木下恵美/宮田薫/池田誠/今村雪子 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
美術 | 本田修 |
背景 | 獏プロダクション/荻庭裕文/小形光芳/矢島伊都子 |
撮影 | (株)旭プロダクション/長谷川洋一/大神洋一/薮田順二/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | フィズサウンドクリエイション 松田昭彦 |
録音スタジオ | APUスタジオ |
整音 | 柴田信弘 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
現像 | 東京現像所 |
メカニカルデザイン | 明貴美加 |
文芸設定 | 稲荷昭彦 |
制作助手 | 外池葉子 |
色彩設計 | 中山しほ子 |
仕上助手 | 新垣純子 |
製作担当 | 望月真人 |
制作デスク | 池部茂 |
制作進行 | 松村圭一 |