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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

昨日から生活福祉資金の特例貸付がはじまった

全国各市町の社会福祉協議会を窓口にした「生活福祉資金の特例貸付」が昨日から始まっている。内容については、以下のリンクを参照していただきたい。NPO法人ほっとプラス理事・藤田孝典氏が詳しく解説している。

news.yahoo.co.jp

これはあくまで社会福祉協議会による「貸付」だが、記事のタイトルには「状況次第」という言葉を添えつつも「もらえる」とあり少々気味の悪さを感じている。借金であるはずなのに、なぜ「もらえる」のかについてもリンク先を参照していただきたい。個人的に「もらえる」条件に当てはまる人は非常に少ないとは思うが。

数年前、僕は就職がうまくいかず、仕事も長続きせず、生活が成り立たなくなってどうしようもなくなったとき、この特例貸付の中にある「緊急小口資金」を借りたことがある。最大限度額の10万円を借りたのだが、その後も就職がうまくいかないことが続き、結局今でも完済できずにいる。やがて利子は増え続け、残りの返済が約30,000円ほどだったのが今では約50,000円ほどに膨れ上がっている。

今回の「緊急小口資金」の貸付については、コロナウイルスによる生活困窮に対するものであるため、条件に合致すればすぐに借りることができると思われるが、通常の場合だとすぐに貸付は行われない。社会福祉協議会の窓口で相談をしても、まずはフードバンクからの食糧提供で一か月程度をしのぐことになる。その後に「緊急小口資金」の申し込みと審査が行われるという順番であり、家賃や光熱費の支払いに苦慮をして「今すぐにお金がほしい」という状況であっても、すぐに小口資金を借りることができないようになっている。もちろん、各市町の社会福祉協議会によって対応は異なるかもしれないが、今回の「生活福祉資金の特例貸付」についても、まず窓口で担当者にそのあたりのことを詳しく聞いておく必要があるだろう。

借入に関する審査は民間の消費者金融や銀行のローンに比べて極甘なので、恐らくほとんどの人は審査を通過して「緊急小口資金」を借りることができるだろう(返済能力等はそれほど考慮されていないと思われる)。しかし、振り込まれた10万円を得たところですぐに家賃や光熱費に消えていくだろうし、いくら社会福祉協議会が窓口になっているとはいえお金を借りていることに変わりはないので、いずれ返済をしなければならない。滞納すれば封筒でガンガン督促が来るし、場合によっては社会福祉協議会の職員が訪問調査と取立てに来る。現に、僕の部屋には何度か社会福祉協議会の職員が訪問に来ている。

特に気を付けてほしいのは中高年の無職orフリーターor派遣社員で、一時しのぎに「緊急小口資金」を借り入れても、その後も仕事が決まらないままだったり、仕事に就いてもすぐにクビになったり、ワーキングプアで毎日食べていくだけでやっとの生活になったりする可能性がある。こうなれば再び生活は困窮し、返済どころか返済できない借金を背負うことになってしまう。失業者向けに用意された、最大3か月分の生活資金を借りることができる「総合支援資金」も用意されているが、借金で生活をしていることに変わりはなく、結局のところ福祉として借りたお金が、負債となって自分の肩に大きく圧し掛かってしまうのだ。ちなみに、僕が最後の返済ができないままなのは、仕事に就いても手取り13万円程度で昇給賞与のないワーキングプアだったり、有期雇用で更新のない派遣の仕事に就いたりであって、決して無職のまま怠けて過ごしていたわけではない。スキルも資格も学歴もない中高年のおっさんは、そういう仕事にしか就けないからね。

「生活福祉資金の特例貸付」はコロナウイルスによる特例措置のため無利子・無担保・無保証人というとても恵まれた条件で借りることができるが、「貸付」はあくまで「貸付」であり「借金」なので、あまり期待はしないほうが良い。「生活福祉資金の特例貸付」を借りることを検討している人は、結局は「働いて返さなければならないお金が増える」ということを十分に理解した上で、よく考えてから行動してほしい。