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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

朝まで生テレビ

格差社会と雇用問題についてが議題だったのでついつい最後まで見ていたのだけれど、暗くなる意見が多かったな。ただ、やたらフランスやイタリアと雇用情勢を比較したり、全体的視野でテーマを論じるのか、ある一定の人たちだけを対象にしてテーマを論じるのか、いまいち焦点が絞れていない気がして、議論が噛み合わない場面もあった。例えば「パートの人たち自身が正社員になりたくないと反対している」との発言もあったが、パートから正社員になりたい人だって大勢いるはず。俺もその一人。だが、どちらを向いて議論すれば良いのか。この問題の難しさを物語っているようなものだとは思うのだが。

パネラーの中で「就職氷河期世代」について言及したことは、ようやく有識者の間でも彼らの年代が問題として捉えられ始めたのかな……って気がするけれど、国の対策としてはそれ用の予算を組むだけで、まだ具体的な方策は明示できないみたいだし。企業側の賛同も得られるのかね?企業側は氷河期世代よりも外国人を採用したいというのに。国のやる事は風見鶏なんであまりアテにも出来ないが、当面25万人の救済*1と、非正規雇用正規雇用へと転換しやすい仕組み作りを目指す、の言葉にほんの少しでも期待したいところ。でも、結局採用は企業側の胸先三寸なわけだし、これも期待できんか。

片山さつき議員が「採用時における年齢制限の撤廃を行う」と言っていた。

<年齢差別禁止>雇用対策法案に盛り込み検討へ 厚労相表明

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070126-00000054-mai-pol

柳沢伯夫厚生労働相は26日の閣議後会見で、与党が企業による働き手の募集・採用時の年齢差別禁止を雇用対策法改正案に盛り込むよう求めている問題について、「原案に盛り込むよう検討しなければいけない」と述べ、通常国会に提出する同法改正案に新たに盛り込む考えを示した。
現行法は年齢差別禁止を企業の努力義務にとどめている。自民、公明両党はこれを禁止事項に格上げするよう政府に要請する一方、政府の措置が遅れた場合は議員立法で対応する考えを表明していた。

これのことでしょう。でも、違反を犯しても企業側に罰則は無い。効力を発揮するのかな。第一、俺が勤めていた糞会社だって「18歳〜40歳」で求人出していたけれど、実際に上が採用したいのは「20歳〜25歳(しかも女性)」であって、ならどうしてそういった年齢で求人を出すのかと言うと、ハローワークから「求人年齢に幅を持たせてください」「男女雇用機会均等法を遵守してください」と指導が来るからだ。で、表向きは「はい、分かりました」と答えておいてこの年齢層と性別不問で求人を出す。そして、実際電話を受ける際には応募者の年齢を聞き、仮に「30歳・男性・未経験」だと適当な理由を付けて面接を断る(書類選考なんて高尚なものはうちには無かった)。その理由は、例えば「もう既に応募者が多数おりまして、面接のほうは締め切らせていただいているんです」とか「ただ今担当のものが席を外しておりまして……お電話があったことはお伝えいたしますので……」など。後者のほうはもちろん連絡しない。多分職種によっては同じようなことが全国的に蔓延していると思う。例えば、事務系の仕事に男性が採用されないのと同じようにね。事務職に応募したことのある男性なら、こういった対応をされたことがある人が多いはず。結局はそういうこと。んで、企業側には何の罰則も無し。罰金制度くらい設けてやれば良いのにね。

あと、松原聡氏がフリップを使って雇用が回復したことを言った事に対し森永卓郎氏が「派遣社員などの非正規雇用でも採用が増えたから結果的にそうなっただけ」と反論していたけど、大方その通りだと思うよ。正社員に就いた人だっているにはいるだろうけれど、割合からして見たら極少数派だと思うし。あれってハローワークからの統計を元に算出しているはず。今のハロワなんて(派)とか(請)とかの文字が乱舞しているからな。止む無くそうした職に就いたとしても、雇用状況が改善されていると見なされてしまう。そして、そういった職に就いた人の大半が、数年経ってまたポイされる、という仕組み。派遣や契約から正社員になれるなんて、本当に極僅か。むしろそういう人たちは、普通に企業の就職試験を受けても採用されるような優秀な人材だと思う。

俺としては、最初に「就職氷河期世代」というフレーズを発した城繁幸氏の意見をもう少し聞きたかった。かなり的を射た意見を言っていたような気がした。番組終了間近に発した「正社員の責任を非正社員が取る形にしてクビを切る」……これ、不二家が最初に取った行動だよね。賞味期限、消費期限が切れた材料を使っての製造や、衛生面における社内基準*2を遵守しなかった作業を、再雇用した非正社員の職人に被けようとした。でも、どんどんボロが出て、結局は上層部(正社員)の責任であることが明確となってこうなった。非正社員は使い捨ての尻尾切りみたいな考え方なんだろう。

大村秀章議員、トヨタ期間工は月収30〜40万じゃあないですよ。期間工から正社員になるなんて非常に狭き門ですよ。でも、愛知は活気があって本当に羨ましい。田原総一郎さん、採用試験を実施している企業よりも実施していない企業のほうが圧倒的に多いですよ。面接だけで採用している企業なんて腐るほどあるよ。俺が勤めていた糞会社もそうだったよ。

まあ、俺たちの世代に努力が足りない、って言われれば確かにそうかもしれんな……。「努力が足りない」って他人を一番批判しやすい言葉だし。けど、果たしてその「努力」という言葉だけで片付けられる問題なのかな、こういうのって……。堀紘一氏が言うように「自分で自分の価値を高めていくしかない」というのは分かるけど、もうある一定の年齢を過ぎた人間が一念発起して価値を高めようと資格を取得したり大学へ行きなおしたりしても、今度は「実務経験」と「職歴」の壁に阻まれてしまう。いくら年齢制限が撤廃されたとしても。

結局、こういう席で話をしている人と、一般企業というか更にその下の零細企業でも良いけど、俺のような底辺で生きる人間との間には、どうしても埋めることのできない「格差」が予めから生じているんだな、ということで大きな無力感を感じたのだった。あとは自分が選択できる範囲内でどう生きるのかの判断を誤らないようにしたい。

*1:この言葉が適切かどうかは別

*2:これも無茶苦茶なものだったらしいが