狙撃事件がきっかけで海坊主と邂逅した真希。海坊主に父と同じニオイを感じ取る。日曜日にはウィーン音楽祭最優秀賞受賞記念コンサートを控えており、父が唯一真希に遺したバイオリンで弾く曲は、海坊主の部隊で死者が出た際に氷室剛司が弾いていた鎮魂曲であった。その音色に思わず涙する海坊主。
スネークからの殺害予告が届く。記念コンサートの晴れ舞台を狙うとのこと。一度目は撃退する海坊主だが、屋上での対決では弱点である「猫」をけしかけられて万事休す。そこへ現れる冴羽。スネークを懲らしめて事件は解決した。後日、冴羽の作戦で真希と二人きりになる海坊主。真実を知った真希、念願の「足ながおじさん」との出会いを果たす。ウィーンへ留学してしまうと日本にいつ帰れるかは分からないが、最大の目的を果たし心おきなく日本を発つ。
前編から続く前後編の完結編。女の勘なのか、海坊主を「足ながおじさん」では?と感じてしまう真希。しかしそのニオイは父と同じものでもあり、冴羽と同じものでもあった。それぞれの共通点は「傭兵」ということで間違い無いが、アーティスト独特の研ぎ澄まされた感性を持つ真希には、この時にそれらに共通する「何か」を敏感に感じ取ったのだろう。
氷室剛司が真希に遺したバイオリンを偶然見つけてしまった海坊主。思わず抱きかかえてしまうが、真希に見られてしどろもどろ。そのバイオリンで演奏される鎮魂曲に、傭兵時代の記憶を甦らせ涙する海坊主。この出来事に加え、海坊主の本名が「伊集院隼人」であること、そして「隼」から「ファルコン」を連想したことで、「足ながおじさん」が誰であるかの確信を抱くことに。暗にその図式を仄めかした冴羽の行動も心憎い。
暗殺者のスネークだが、海坊主とは実力の差が歴然。しかし、海坊主にとって天敵である猫を使って海坊主の動きを封じることに成功する。弱点を突くのは戦いの常套手段だが、人畜無害な猫にこうまで怯えるのは、ギャップがあるとはいえあまりにも情けなくないか…?ちゃっかり漁夫の利を得て美味しいところを持っていく冴羽。一方の海坊主、小猫にまとわり付かれて失神してしまう……。
冴羽の作戦で、海坊主と二人きりのコンサートを開く真希。一度は断る海坊主だが、ウィーンへの留学が決まっており日本へはいつ帰れるか分からない。更に「伊集院隼人」という本名で呼ばれてしまい、止む無く真希の日本での「最後の演奏」を聴くことになる。さすがに、父親が傭兵であったことは言えなかったが、真希はそれでも自分自身の演奏で「足ながおじさん」に恩返しをすることができ、短い日本滞在期間に想いが遂げられたことで、心おきなく日本を発つのであった。
この前後編に直結した後日談が、劇場版『シティーハンター 愛と宿命のマグナム(1989)』の冒頭で用意され、氷室真希から冴羽と海坊主を紹介されたニーナが、二人に父親捜しを依頼するという流れで物語がスタートしている。
原作
「海坊主からの依頼」「スネーク現る!」「ラスト・コンサート」
セリフ
真希「実はあの探偵さん、初めて会った気がしないんです。父と同じニオイがするんです。上手く言えないんですけど、体から発散するものが同じような……。でも、冴羽さんもなんです。あなた方からは、他の人と違うようなニオイが……」
真希「伊集院隼人……隼?隼……ファルコン!?」
海坊主「親父さんの夢だった……真希が一流のバイオリニストになることが。十分大人になったとき、全て語ろう」
次回予告
香「500円で三人やっつけろ!?何だ、子供の悪戯電話か」
冴羽「いや、れっきとした依頼なんだなあ。ユカちゃんの大好きな絵本作家・村越さおりを助けて、っていう」
香「へえ……」
冴羽「彼女、自分の名前で本が出せないんだ。悪どい出版社に脅迫されて」
香「気の毒に……でも、たった500円で獠が動くの変ね」
冴羽「どきっ!」
香「さてはさおりさんって美人なんだな!?」
冴羽「シティーハンター『依頼料は500円!?メルヘン美人は獠好み』」
香「絶対見てね!」
キャスト
冴羽獠:神谷明/槇村香:伊倉一恵
真希:島本須美/海坊主:玄田哲章/スネーク:秋元羊介/男:梅津秀行/男たち:梁田清之、西尾巧/女たち:矢崎えりい、林玉緒
スタッフ
構成 | こだま兼嗣 |
---|---|
絵コンテ | こだま兼嗣 |
演出 | 山口美浩 |
作画監督 | 北原健雄 |
原画 | 西村誠芳/木口寿恵子/斉藤良子/中野美佐緒*1/遠藤栄一/山内貴美子 |
動画 | 山本みどり/島田悌三/四本忠司/川島由美子/たくらんけ/スタジオ MAY |
動画チェック | 石井康雄 |
色指定 | 横田政一 |
仕上 | スタジオ九魔/米村貞子/奥野孝一/公平保之/岩沢れい子 |
特効 | 千場豊(マリックス) |
背景 | スタジオ・イースター/矢島洋一/北川晴美/清水隆夫/南沢貞子/影山誠哉 |
撮影 | 旭プロダクション/長谷川洋一/末弘孝史/福田寛/土岐浩司 |
編集 | 鶴渕映画 |
タイトル | マキ・プロ |
効果 | 松田昭彦(フィズサウンド) |
整音 | 大城久典 |
音響制作 | オーディオ・プランニング・ユー |
録音スタジオ | A・P・Uスタジオ |
現像 | 東京現像所 |
メカニカルデザイン | 明貴美加 |
設定 | 秋山浩之 |
制作助手 | 渡辺葉子/佐藤あさみ |
制作進行 | 南雅彦 |
文芸 | 外池省二 |
製作担当 | 望月真人 |
本ページの情報は2020年2月時点のものです。
最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。
*1:阿部美佐緒