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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

新必殺仕舞人 第1話「草津湯煙血の煙」

脚本:吉田剛 監督:前田陽一 ゲスト:三崎千恵子

新必殺仕舞人』のキーワード参照

1話ということで、仕舞人を引退した京山たちが、どういう形で殺しの道に復帰するかが見ものだったが、結構理に叶った形での復帰がなされている。

前作『必殺仕舞人』の1話も、京山が殺しの世界へと返り咲く話を丹念に綴っているが、本作では前作ほど暗くはなく、新仕舞人のイメージを決定付ける形での復帰が成されている上に、きちんと恨み晴らしの関連付けもされている。前作でフォーマットが完成しているので、構成を考えるのもある程度容易だったのではないだろうか。

基本的な部分では、吉田剛流ヤクザの抗争劇という感じか。正道を守るヤクザと、外道ヤクザとの小競り合いに殺し屋が巻き込まれるというお話。『必殺仕事人V激闘編』の「主水、正月もまたイジメられる」などでも見られる、吉田剛氏お得意のお話だ。

スタッフ面を見てみると、今作よりチーフライターを務める吉田剛が、仕舞人の世界観を崩さずに書き上げている。前作仕舞人でも数多くの作品を執筆しているので、安心して見ていられる。後の作品にたびたび出てくる悪ふざけ的なセリフまわしも見られない。正統派の作りだ。

監督は、松竹大船で喜劇映画を数多く手懸けた巨匠・前田陽一必殺シリーズへの参加は合計4本と少ないが、手堅い演出を見せている。松竹の同期である吉田剛とのコンビネーションもばっちりだ。直次郎たちが本然寺へ駆け込んでくるシーンや、最後、京山一座が旅立つシーンなどで撮り方に個性が出ていると思う。

ゲストは、これまた松竹作品には欠かせない女優・三崎千恵子。ヤクザの女親分という、ちょっと意外な役どころだが、難なくこなしている。三崎千恵子といえば『男はつらいよ』シリーズで有名だけど、今作品の主役、京マチ子も『男はつらいよ』にゲスト出演してる。