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日本の片隅でひっそりと暮らすおじさんが書くブログ

新必殺仕事人 第20話「主水つらく夜勤する」

脚本:石森史郎 監督:田中徳三 ゲスト:黒部進

江戸では「葉っぱ」と呼ばれる強力な麻薬が横行。奉行所は目の色を変えて探索しているが、手がかりが全く掴めないために筆頭同心・田中(山内としお)も苛立ちを隠せない。そんな中、主水は「葉っぱ」でラリったクソガキ3人組による婦女暴行殺人現場に遭遇。「葉っぱ」探索に成果を挙げられないのに殺人事件まで解決しなけりゃいけない主水(藤田まこと)は、田中から毎日夜勤を命じられて疲れる日々を送る。やがては、加代(鮎川いずみ)を表の仕事に駆り出す始末。

「葉っぱ」の正体は蝦夷の原生地で採取される麻の葉で、私服を肥やしている張本人は弘前屋(黒部進)なのだが、奉行所はその正体を掴めない。いよいよ「葉っぱ」の被害は拡大し、クソガキ3人組は「葉っぱ」を買う金欲しさにデート中のカップル2人を惨殺した。そのカップルは秀と懇意だったため、秀は主水に「裏の仕事で片付けよう」と提案するが、主水の態度は慎重。苛立つ秀。

一方、主水と田中に婦女暴行殺人の濡れ衣を着せられた常磐津の師匠・右左駒(風間舞子)であったが、勇次(中条きよし)と加代の手助けもあって解き放たれた。勇次が右左駒に接触し、その過去を問いただすと、右左駒の母は越後瞽女(ごぜ)であり、顔も知らぬ父親を探すために母の残した三味線で仕事をしているのだそうだ。健気さに心打たれる勇次であったが、加代が調べたところ、父親は弘前屋ではないか、とのことだった。

本当に父親かどうか、夜弘前屋を訪ねる右左駒。ところが、クソガキ3人組が「葉っぱ」欲しさに弘前屋へ押し込み強盗を働こうとする場面に遭遇。そして、クソガキ3人が口封じのために弘前屋の手下に殺される場面を目撃してしまう。弘前屋は右左駒を呼びつけた。娘の名乗りを上げる右左駒。しばらく動揺を隠せない弘前屋は、右左駒を一旦帰すも、手下に「殺してしまえ」と命令。瀕死の右左駒は勇次に恨みを晴らして欲しい旨を伝えて絶命してしまう。

表の仕事で手柄にし損なった主水だが、恨みを晴らすために動き出す。

後半部分はちょっとだけ、からくり人の「津軽じょんがらに涙をどうぞ」が入っていたような気もしましたが、話的にはそれほど目立った感じではなかった。クソガキ3人組がもう少し非道であれば、もっと感情移入できたのでしょうけれど。

っていうか、被害者が分岐し過ぎなんだよなあ。秀と懇意にしていた大工カップルなのか、それとも常磐津の師匠なのか。最終的には常磐津の師匠が殺されたのがきっかけで仕置きに入るため、被害者としての重点は後者に置かれていたとは思うけれど、前者が殺されたときにも秀は怒りが頂点に達していたはず。それなのに、主水の態度であっさりと引き下がってしまった。常磐津の師匠を解き放そうと、裏の仕事でもないのに色々聞き込みをした勇次に比べると情熱が冷めてしまったと言わざるを得ないのではないだろうか。秀独自でも調べを行うくらいの描写が欲しかった。

反面、田中徳三の演出は冴えていたように思います。特に殺しのシーン。秀の殺しパートは滴り落ちる雫で動きを表現し、勇次と主水の殺しでは、主水が誘いを掛けて弘前屋に隙を作らせ、その間に勇次が番頭を殺す、という連携が見事。そして、目の前に弘前屋がいるにも関わらず、脇差ではなく太刀を抜いて突き殺す主水には迫力を感じました。